ReBirth

□ReBirth -09
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「…想像以上に面白い顔をしたな」

 セバスチャンは目を背けたまま、ハーブティーをもう一杯注ぎ、シエルの前にぎこちなく置いた。

『レドモンドが僕に、一日だけ寮弟になれと言ってきた』

 そう伝えた瞬間、ほんの僅かな間だったが、セバスチャンは開いた口がふさがらないという顔をした。すぐにポーカーフェイスを取り繕い、小皿にラベンダーのサブレを並べる作業に取り掛かったが、シエルの大きな瞳にはしっかりと映っていた。

「ラベンダーのティーに、ラベンダーのサブレか」
「血圧を下げる効果がありますので、ぐっすり眠れるかと存じます。…コーディアルで酔わせて差し上げたいところですが、お勉強に差し支えるとよくありませんからね」

 そしてシエルの頬にそっと手を当て、眼帯をずらした。

「100年くらいずっと眠らせて、私の傍に置いておきたくなりますよ」
「いいのか?お前のディナーが100年延びるぞ」
「空腹は最高のスパイスですから」
「嫉妬も」

 そう言って、苦い顔の執事に「フン」と笑みを投げる。

「心配するな。一日だけだ」
「…ドルイット子爵の甥御ですよ」

 今度はシエルが、苦い顔をする番だった。

「…そうだった。まあ、そんな下心で呼んでいるわけでもないだろう。あいつには学生との『噂話』もないし…」

 人間の欲望を知り尽くしているセバスチャンには、その発言がひどく幼く聞こえる。
 シエルがティーカップを置くと同時に、小さな唇に口付け、椅子から抱き上げた。
 指をパチンと鳴らし、室内を黒で塗り込める。

「おいっ…」
「ファントムハイヴ君は体調が悪いので、一日寮弟は一週間先にしていただきましょう」
「…!?」
「授業に出るだけで精一杯だと、レッドハウスの寮監に伝えます」
「…っ、教師が仮病を使わせるのか?ミカエリス先生」

 シエルの小さな抵抗をかわしながら、するすると制服のボタンを外していく。

「今から、そう見えるように疲れさせて差し上げます」
「ちょっ…セバ…そこ…っ。んん…」
「ああ…良かった、まだハーブの鎮静作用は働いていないようですね、こんな…」
「お前、ぐっすり眠れるようにって、言ったくせに…!」
「前言撤回です、寝かせません」
「うっ…、セバっ…!」

 入学してから、そもそも睦み合いの時間自体が少なくなっている。
 強く吸い付いてきたその唇は、日常も理性もぼやけさせ、ただ一つの感情しかリフレインさせなくなる−【もっと、欲しい】と。

 激しい責め立ての次に、シエルの脚を開かせ、今度は優しく、自分がおさまるべきその場所を愛撫する。

「あ…、はぁ…っ」
「坊ちゃん…」

 学園内では久しぶりに聞くその響きが、甘く、憎い。

「…おねだりの仕方は、教えたでしょう?」

 中の指は次第に速度を増し、奥へ奥へと突き上げる。

「…欲、しい…」
「…もっと、言って」
「セバスチャンの、…が…欲し…い…っ」
「イエス、マイロード」

 裸になったその場所が、夜の帳を裂いた。あえぐ秘部が逞しいそれを深々と受け入れ、一筋の蜜を零した。

<続きます…!>
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