BLUE in the nest

□BLUE in the nest -04
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† † †

「あ、坊ちゃん」
「がっ…」

 小さな口に長い指を入れられる。シエルは思わず目を閉じた。

「治療…は必要なさそうですが、あまり良い状態ではないですねぇ。おやつのあと、歯磨きを怠ったのでは?」
「やぇおっ…」

 やめろ、とセバスチャンの手を外し、抵抗する。

「口の中、なんか…。恥ずかしい…」
「おや?私に対して、恥ずかしがることなど…ございませんよ」

 あくまで、執事ですから。そう言って優しい三日月をつくり、白い歯を覗かせる。

「セバスチャンはないのか?虫歯」
「ございませんね」
「虫歯じゃなくても、何か…病気とか」

 遠慮がちに問うが、彼が人間より頑丈なのは、聞くまでもない。

「悪魔は、病気にかからないのか」

 質問というよりは、確認に近い。頼もしい…と、感心と羨望の入り交じった目で見上げる。
 が、思いがけないセバスチャンの返答。

「私、かかっておりますよ。…恋の病に、ね」
「…」

 シエルは真っ赤になって、ソファの上で硬直した。

 その時、電話が鳴り、黒い燕尾服はシエルの傍を離れた。

 「…はい、少々お待ち下さい」

 電話はシエルに取り次がれる。



† † †
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