BLUE in the nest
□BLUE in the nest -06
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「こんにちは!」
「いらっしゃい、伯爵の坊ちゃま」
ドアの隙間から飛び込んできた水色を、アンダーテイカーは立ち上がって迎えた。
「今日は、ぱぱのだいりで、来ました!」
代理を任されたというよりは、シエルが行きたいと駄々をこねたのが真相である。後ろでタナカが、うやうやしく一礼し、歩み寄った。
小さな荷物が大事そうに渡される。立ったまま、アンダーテイカーは何か話し始め、タナカは黙ってそれを聞いていた。
シエルはこぼれそうなほど大きな瞳で、黒い帽子を見つめた。葬儀屋が自分を見ると、にっこり笑ってみせた。
アンダーテイカーは二人に座るよう言い、奥へ引っ込んだ。
戻ってきた白い手に、グラスが三つ。器用に剥かれたレモンの皮が、グラスの中で螺旋を描いている。
「ヒッヒ…小生特製の、レモネードをどうぞ」
「ありがとう、頂きます」
シエルは両手でグラスを受け取り、注意深くレモンの皮を避けて柔らかい唇をつけた。少し咳込む。
ふと、何か思い出したらしく、ポケットに手をやった。
「ねぇ、おじさん」
(おじさん?)
「タロット占い、したことある?」
「あるけど…もう随分、やってないなァ。そのカード坊ちゃまのかい?」
アンダーテイカーは痩せた指で顎をつまみ、首を傾げた。
† † †