BLUE in the nest

□BLUE in the nest -07
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† † †

 ウィリアムは耳障りな声に背を向け、小さく息を吐いた。

 眠りに落ちようとする意識を、執拗に引き戻す声。

「赤い顔で横になっちゃうなんて、アナタらしくないわネ」

 これが、神の声だとは。

「ウィル、起きて。そんなところで寝ちゃだめヨ」

 永きにわたり畏怖してきたものの正体が、

「ふ…、女房みたいな口のきき方…」

こんなにも猥雑だと、人間が知ったら。

「あら、このままアナタが独身だったら、アタシが結婚してあげるわよォ」

 そう言いながら、グレルは乱れた髪の下の端正な顔を覗き込んだ。

 アルコールのせいか、体温が若干高く感じられる。 グレルが眼鏡を取ってやると、ウィリアムは手を瞼の上に置いた。

「ね、何だってそんなに飲んだの?」
「管理課の…付き合いです…よ」

 シャツがたくし上げられ、白い腕があらわになっている。

「ふーん、アタシが誘っても、来ないくせに…」

 なめらかな指で、きめ細かな肌を幾度もなぞった。頬、首筋、腕。

 キレイな指だワ、我ながら。引き締まった腕に赤い爪を立てれば、まるで恋人達の睦み合いのよう―…。

「痛いですよ。今日はここで…寝かせて貰います。貴方も…もう…」
「ダメッ。折角連れて来たのに、そんな色気のないこと、させないわヨ」

 抱き起こそうとしたが、些か力が足りない。



† † †
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