BLUE in the nest
□BLUE in the nest -27
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「ああっ…ん…セバスチャン、そんな……」
細い腰の下の柔らかな双丘を引き寄せて、昂まる固いものを突き立てる。寒空の下で響く鈴の音のような叫びは、貴腐葡萄酒のような甘い後味を残してシルクの海に沈んだ。
「もう、や…そんなに…っ」
痩せた背中をなぞり、胸に手をまわす。激しい鼓動を弄ぶように、赤い突起をつまむ。その手で熱情を吐き出したばかりの性器を擦ると、残っていたものが二、三滴シーツの上に零れた。
シエルはシーツを掴み、全身を震わせて深くため息をついた。体内にセバスチャンのとろとろした白濁が溢れている。やるせなさそうに腰を動かし、抜いて欲しいとねだるが、セバスチャンはシエルの中で再び固くなっていた。シエルの身体をこちらに向けさせ、胸と胸を重ねる。
「少し…、…休ませ…」
「貴方がおっしゃったのですよ。めちゃくちゃにして欲しいと…」
喘ぎながら、潤む瞳で自分を見る主人に微笑を返し、その唇から踊る舌で執拗に耳を舐めた。耳朶、首筋、大腿…感じる場所は、全て知り尽くしている。
いつものようにアフタヌーンティーの給仕をしていた、二人きりの午後。
誕生日ケーキはディナーの際に、と言ってしまって、はっとした。口を滑らせるなんて、自分らしくない。そう、らしくもなく、うきうきしていたのだ。本当は、ケーキどころかプレゼントもサプライズも用意している。気付かれまいと、わざと素っ気ないふりをして淡々とティーフードを並べた。
小さな主人はそんな執事を見ながら、つまらなそうに言った。
「誕生日なんて、祝う必要…ない。お父様とお母様と…セバスチャンのいなくなった日だ」
セバスチャンはそれを聞くと、片膝をついて一礼した。
「では、今日は私が坊ちゃんの狗になりましょう」
シエルはそれを聞くと、バカ、という表情でセバスチャンを一瞥したが、
(…なんだか…可愛い、かもしれない)
そう考え直して、左手を差し出した。
「お手?」
セバスチャンは無言で、小さな手に右手を重ねる。軽く握って、首を傾げて見せる。そんな様子が、おかしいやら恥ずかしいやらで、見ていられない。
「…おいで」
思わず、もう片方の腕も差し延べていた。
「おいで、セバスチャン」
一瞬、びっくりしたけれど。
何を命令されているのか、わかって、その腕の中にもたれた。
「わん」
「…もう、いいから」
呆れながらも、シエルは思い出していた。セバスチャンの手触り、自分より大きくて、はしゃぐとぺろぺろ舐められて、温かかったこと。
「行儀よく、しなくていい…誕生日だから、特別に…」
「…特別に?」
抱きしめたまま、視線を交わした。
「めちゃくちゃに、して…」
そう言って、目を伏せた。
唇がそっと舐められる。柔らかさが重なり、次第に力がこもる。
「…よいのですか、そのような」
「…」
「私には限界なんて、ないも同然なのですよ?」
「…、やっぱり、少しは、手加減」
「ノー、です。マイ・ロード」
「はぁっ…あっ…あぁっ…!い、…もう…んぁっ…!」
小さな性器を握られたまま、幾度も突き上げられた。全身を揺さぶられて、意識は一点に集中していた。
「セバ…そこ、離…せっ、…そのままじゃ、…」
「どう、して欲しいのですか。言ってご覧なさい」
「んんっ…」
「坊ちゃん、さあ…おねだりは?」
「ンッ…やだっ…言わな…っ」
「では、しばらくこのままですね」
セバスチャンの太さで押し広げられ、抗うこともできず、感じれば感じるほど絡みついてゆく。
「やぁ…っ、も…」
「…坊ちゃん」
「もう、…出させて…っ!イキたいっ…!」
セバスチャンは艶やかに微笑して、手を緩めながら二、三度擦った。身体にシエルの液体を感じながら、残りを出させるように再び突き上げた。
「くっ…あぁっ…」
「まだ、…」
(足りませんよね、特別な日を祝うには)
セバスチャンは白い半月のような耳に唇を寄せると、わん、と囁いた。
「もう、…にゃあ」
「…っ」
行儀のよくない執事がバースデーケーキを給仕するのは、まだまだ先に違いない。
†END†