BLUE in the nest
□BLUE in the nest -28
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「坊ちゃん」
上ずった声を飲み込む音が、室内に響く。
シエルはベッドに手をついて四つん這いになると、消え入りそうな声で言った。
「覚悟、決めてきた…から…、胃に、なにも、入れてないし、大丈夫だ」
そんな言葉を聞いてもまだ、押さえていられるのは、下着という物理的な壁があるからである。
「慣れて、いるんだろ」
いや、この初々しい少年には、まだ慣れてはいない。
セバスチャンは黙って、シエルの口に人差し指と中指を触れさせた。
「んっ…、ちゅ……、んんっ」
温かな口腔を指で犯す、その行為だけで感じているのが、反らせた背中から伝わる。
「はぁっ、はぁっ…」
セバスチャンは指を抜いて味わうように舐めると、小さな秘部にそっとあてた。シエルの背中がピクンとはね上がる。
「やめますか?」
「…、ノー…」
「イエス、マイロード」
そんな‘執事っぽい’返事に、羞恥心が煽られる。
「ああ…何か…変な、感じ…」
少しずつだが、こじ開けられてゆく。その場所を、淫靡な愛を受け止める蜜壷として生まれ変わらせる。
「ふ…、は…」
小さな手で、シーツを握りしめた。セバスチャンの指が内壁を押し、出入りを繰り返している。
セバスチャンは一旦指を抜くと、タオルの中に隠していた棒状の玩具を取り出した。シエルが目を丸くしてこちらを見ている。わざとゆっくり、避妊具を被せてみせる。
「それ、…コンドーム」
「そうですよ、見たことありませんか」
「あるわけ、ないだろっ。そんな物にも、使うのか…」
「そのほうが、よいですからね」
シエルはまだ、腑に落ちないという顔をしていた。
「それ、どうやって使うんだ」
えっ、と今度はセバスチャンが少し真顔になった。柔らかな臀部を引き寄せ、それを近づけながら答える。
「どう…というほどのものではありません。挿れるのですが」
「なっ…!」
シエルは慌てて起き上がると、ベッドから転がるように降り、自分を守るように胸の前に腕を交差させた。
「嫌だ!!!」
「あの、坊ちゃん」
「お…前の…なら、いいけど…そんな…そんな変な器具…!」
覚悟を決めて来た、と言ったけれど。
それはセバスチャンを最後まで受け入れるという、どちらかと言えば精神的な決意である。非日常的な道具で、大人の世界に踏み込む勇気は、まだなかった。
セバスチャンは小さく溜息をついて、髪をかき上げた。
「少しずつでないと、痛いのですよ」
こんな少年を相手にするのは初めてだが、そのくらいは想像がつく。
「だ…から、指で、いいだろ、もう…」
「いきなり、これが入るとお思いですか」
セバスチャンは腰の高さに器具を持って来、自分のものと比べてみせた。明らかに太さも長さも違う。
「…っ」
「いいでしょう…お望みであれば」
セバスチャンは立ち上がると、黒い下着を脱ぎ捨てた。
(あ…、)
いきり立ったそれは、下着の上から見えていた輪郭より更に大きく、先端が濡れて光っている。
「痛っ…」
シエルの身体をやや乱暴に壁に押し付け、両脚を高く上げさせて自分の身体に巻き付けた。まだ溶かしきれていない水面に自分を突き立てると、悲鳴と飛沫が散った。
「いっ…あああーーーっ」