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□実験結果は しずおver
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静雄が起きない。
何度名前を呼んでも、体を揺すってみても。
殆ど明け方に帰って来た彼は、手には露西亜寿司の包みを持っていて、彼からはほんのりとお酒の香り。
取り敢えずお水を飲ませて、そのままベットで寝かせてあげたんだけど。
それから彼は1度も起きること無く、只今午後4時。
いい加減起こしてあげないと、と思っているけど、起きない。
半分諦めて、テレビを点けてみた。
画面に映し出されたのは、『時短テクニック』の文字。
司会者らしき人物が、「続いて、なかなか起きない男性に!魔法の一言で時短!」などと言っている。
ナイスタイミング!
テレビに駆け寄って、被りつく様に画面を見つめる。
そして何分後かに明かされた魔法の言葉、とは。
―――――携帯のメール見ちゃったんだけど。
の一言。
実験した処、100人中81人が成功、しかも、とっさに言い訳した人が46人、謝った人が26人、土下座した人が2人という結果が出た。
よし、これだ!
早速彼の耳元へ。
ぐっと顔を近づけて、囁く。
「携帯のメール、見ちゃったんだけど」
テレビでは、言った瞬間に男性は飛び起きていた。
でも、静雄は起きない。
…あれ、おかしいな。
念の為、もう一度。
「携帯のメール見ちゃったんだけど?」
ちょっと疑問形にしてみたり。
これで起きるだろう。と思っていたが、それでも彼は起きない。
なんでだろう。
やっぱり起きない人もいるのかな。
疑問に思っていたその時、静雄は目を覚ました。
私の顔は未だ静雄の耳元にあったので、慌てて後ろに飛び退る。
「…ん、何やってんだ?」
目を擦りながらまだ眠そうに言う静雄。
「いや、なかなか起きないから、さ。 それより静雄、さっきなんて言ったか解る?」
急に恥ずかしくなってきて、慌てて話を逸らす。
「ん?…ああ、『携帯のメール見た』んだろ?別に良いけど。疾しい事は何も無ぇし」
…そこでやっと、納得がいった。
実験結果は
(愛の証明となる)
(実は見てないんだよね、メール)(そうなのか?)(うん、見た、って言えば静雄飛び起きるかな、と思って)(んな訳無ぇだろ、浮気なんかしねぇって)(……だよね)