:)

□実験結果は しずおver
1ページ/1ページ

静雄が起きない。

何度名前を呼んでも、体を揺すってみても。



殆ど明け方に帰って来た彼は、手には露西亜寿司の包みを持っていて、彼からはほんのりとお酒の香り。

取り敢えずお水を飲ませて、そのままベットで寝かせてあげたんだけど。


それから彼は1度も起きること無く、只今午後4時。

いい加減起こしてあげないと、と思っているけど、起きない。


半分諦めて、テレビを点けてみた。

画面に映し出されたのは、『時短テクニック』の文字。

司会者らしき人物が、「続いて、なかなか起きない男性に!魔法の一言で時短!」などと言っている。

ナイスタイミング!

テレビに駆け寄って、被りつく様に画面を見つめる。


そして何分後かに明かされた魔法の言葉、とは。


―――――携帯のメール見ちゃったんだけど。

の一言。

実験した処、100人中81人が成功、しかも、とっさに言い訳した人が46人、謝った人が26人、土下座した人が2人という結果が出た。


よし、これだ!


早速彼の耳元へ。

ぐっと顔を近づけて、囁く。

「携帯のメール、見ちゃったんだけど」


テレビでは、言った瞬間に男性は飛び起きていた。

でも、静雄は起きない。

…あれ、おかしいな。


念の為、もう一度。

「携帯のメール見ちゃったんだけど?」

ちょっと疑問形にしてみたり。
これで起きるだろう。と思っていたが、それでも彼は起きない。


なんでだろう。
やっぱり起きない人もいるのかな。

疑問に思っていたその時、静雄は目を覚ました。


私の顔は未だ静雄の耳元にあったので、慌てて後ろに飛び退る。


「…ん、何やってんだ?」

目を擦りながらまだ眠そうに言う静雄。

「いや、なかなか起きないから、さ。 それより静雄、さっきなんて言ったか解る?」

急に恥ずかしくなってきて、慌てて話を逸らす。

「ん?…ああ、『携帯のメール見た』んだろ?別に良いけど。疾しい事は何も無ぇし」

…そこでやっと、納得がいった。


実験結果は
(愛の証明となる)


(実は見てないんだよね、メール)(そうなのか?)(うん、見た、って言えば静雄飛び起きるかな、と思って)(んな訳無ぇだろ、浮気なんかしねぇって)(……だよね)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ