Tennis


□望み…
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‐ピピッ‐

不二は脇に挟んだ体温計を取り出し、表示を見ると“38.9”の文字。

『あぁ…完璧に風邪…』


その数字を見て、もっと具合が悪くなったような気がして、そのままソファーに倒れ込んだ。







*******************






朝、目が覚めて起き上がろうとすると体の節々が痛くて動けなかった。


やっとの思いで階下に降り、
熱を測るとこの有り様。


全国大会前の大事なときに体調管理もできないとは…


かと言って練習を休むわけにもいかず、
出かける仕度をしようとふらふらしながら立ち上がると
姉の由美子が心配そうに声をかけてきた。






「周助、まさか今からそんな状態で部活に行こうなんて思ってないわよね?」

「行くけど」






それを聞いた由美子は驚き、そして呆れたように、


「何を言ってるの。
 無理に決まってるでしょ。
 熱があるなら家で大人しくしてなさい」

「でも…」


「今練習を頑張りすぎて大会に出られなくなったらどうするの?
 そうなったら今まで頑張ってきたのが水の泡よ」






その言葉に不二は押し黙ってしまう。

確かに姉の言うとおりである。

無理をして大会当日のコンディションが最悪になるより、
今日休んで大会に備える方が絶対にいい。




「姉さんの言うとおりだよ。
 今日の部活は休むことにする。」


それを聞いた由美子は満足気に微笑み、



「そうよ。その方が絶対にいいわ。
 ゆっくり寝て、早く治してなさいね」


「うん。ありがとう。
 じゃあもう寝るね」



不二はそう言って重い体を引きずるように自室に戻り、ベッドに横になった。
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