迷探偵シンパチ

□第三話
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いつの間にか夕方で辺りは暗くなっていた。
店に迷惑がかからないようにとの銀八の配慮で、3Zの生徒は外で待たされていたので寒くて、そろそろ限界だ。
放送をかけても全員は揃わず、僕たちは近くの旅館で待機することとなった。

行方不明になったのは、土方さんと伊東さんとハム子さんの3人。
僕たちが風呂に入ったり夕食を食べている間、銀八先生と救難員の方々が捜していたらしいけど、銀八先生は帰ってきた。

そして僕らは大広間に集められ、3人を最後に目撃したのは何時かを訊かれている。

「ハム子を最後に見たのは山崎。マヨラーを最後に見たのは沖田。伊東を最後に見たのはヘドロってことだな?」

ということは、別々に行動してるってことだ。

「ハムとマヨネーズだから結構仲良くやってんじゃね?」
「でも、伊東君は?」
「三人で仲良くやってるのかもしれないわ。カモだし」
「伊東に限ってそれはないだろ」
「ボンレスハムで暖まってたりして」
「みんな、いいかー。これは笑い事じゃないんだぞ?人の命がかかってるかもしれないんだ」

銀八先生は生徒のことを考えてくれてる。
僕たちも真剣に事件に向き合わないといけないと思う。

「10時から結野アナがバラエティー番組の司会すんだよな…それまでに見つからないと見れねーじゃん」

小言で本音聞こえたけど聞こえなかったことにしよう。

「私、犯人知ってるネ!」

静まり返った部屋に響いたのは神楽ちゃんの声だった。

「サドが三人を雪だるまにしたアル。ドSの血が騒いだネ」
「そうなのか?」

銀八先生が真剣な顔で尋ねる。

「俺はしてやせんぜ。そもそも、チャイナと競争してたろ?」

そうだ。
沖田さんは神楽ちゃんといたはずだ。

「5分だけ空白の時間があるネ」

探偵のように部屋を歩く神楽ちゃん。

「その間に三人を急斜面から突き落とし、雪だるまにした。犯人はお前ネ!」

ビシッ!と沖田さんに指をさして、探偵気取りなのはいいけど、信憑性は全くない。

「茂みに用を足してた時のことですかい?俺はリフトで上に上がってから一度も見てませんぜ」
「ダメですよ!立ちションしたら!草花が枯れたらどうするんですか!」

突っ込むところはそこかい!でも、屁怒絽さんに突っ込む勇気は僕にはない。

「あれ、沖田君が用を足した後だったの?木の後ろに黄色い雪があるから疑問に思ってたのよ」

姉さん、なに納得してるんですか。雪に小便するのは禁止されてるはず…。

「ホラ、証人いるし」
「じゃあ、お前が犯人じゃないなら誰が遭難させたネ!」
「犯人がいないか、もしくは…」
「ただ遭難しただけかもしれないよ!」
「スキー場であって、雪山じゃねーのに?」


バタンッ
扉を開く音がしたので見ると、そこにはハム子さんがいた。
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