主食

□夢の話
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俺には夢がある…
それは「英雄」になること。

故郷の幼馴染みとの約束もあるが、
自身のコンプレックスでもある年齢の割には低い身長、
中性的な顔立ち…
周りに馬鹿にされずに生きていくには強くなって英雄になればいいと思っていた。



「……っう」


強くなるために故郷を出てきてもうすぐ三か月。

故郷では喧嘩も強く腕っ節にも自信があったが、
ここはまだ入社したてと言えど軍隊。
同い年でも体も大きく、
先輩なんかは熊と間違えそうな程のやつもいる。

無愛想で他人に無関心なクラウドはそんな熊達にしょっちゅう訓練中に嫌がらせや暴力を受けていた。


毎日繰り返される嫌がらせ。
溶け込めない空気。


そんなことすら解決できない自分の弱さにも落ち込み、心身ともに傷付き、訓練後のヘトヘトの体を引摺りながら廊下を歩いていた。

(…大丈夫。俺はまだ頑張れる。)


そう自分を励まして歩くが、
今日の訓練で先輩に足を引っ掛けられグネった足首が歩くたびに悲鳴をあげる。


(…あと少し。大丈夫だから。)
「……っ!!!!!」


励まして一歩進んだところで捻挫した足から激痛が発し、その場に蹲ってしまった。
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