主食
□昼下がり
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「旦那ぁー、約束通り報告書持って来た…ぜェッ?!!!!」
今は昼休みも終わり、ちょっと眠気が強くなってくる頃。
世界を股にかけた大企業、新羅の社員達もまたそうであった。
先日のミッションの報告書を渡すために英雄と世界中から崇められている上司―セフィロスの執務室にノックも無しに入室した瞬間、ストップをかけられた様に固まったのは、ツンツンとした黒髪を持つ(黙っていれば)美青年、ザックスだった。
何となく気怠い昼下がり。
ミッションもねぇし、座ってるのも飽きたし…眠気覚ましにでも旦那んトコにでも報告書提出がてら行ってくっかぁ。
運が良ければ可愛いクラウドがお茶いれてくれるかも知んねーし。
そんないつもの様な軽い気持ちで上司の執務室に向かった。
そのザックスは今激しい後悔というモンスターに殺られそうだった。
否、むしろ本気で援軍を呼びたい気持ちで一杯だった。
だが、皮肉な事に目の前にいる男から逃げたいのに、この目の前の男こそ世界最強の男だった…
ノックもせずに開けた扉の先に広がっていた光景は、
いつもと変わらず大きなデスクに座って無表情に執務をこなす上司がいた。
…のだが、その上司の胸の前で揺れ動く金髪があったのだ。
それはまるで子チョコボが踊っている様に見えた。
ただ問題点がある。
この子チョコボから紡ぎだされる鳴き声がとても甘く熱を帯びたものだったのだ…
「…ふッ…ひゃあぁン…ッ////」
本当に子チョコボは踊っていたのだ。
但し、座って執務をこなす上司に跨がった状態で。
「あぁッ…くぅンッ…セ、フィ…も、らめぇッ…/////」
「まだだ。もっと乱れたお前を見せてくれ」
(…ってオイ!!!!!!!!!!!お前らナニしてんだ!!!!!!)
固まったまま、声に出せずに心の中でツッコんだ。
まだ立ち尽くす来訪者を邪魔物だとばかりに上司に睨みつけられれば。
もうスゴスゴと帰るしかなかった。
(あの万年発情期馬鹿ップルが!!)
今度からはノックをしてから入ろう…と、心に決めた被害者は気怠い昼下がりに余計な疲れを抱え自室に戻ったのであった。
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