螺旋の運命

□第二章
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屋上のドアを開けようとノブを回した奢乙は首を傾げた。

「どうかしたか?」
「…壊れてる…」
「…?」

烈は首をひねったあと、
「…ああ、俺が壊した」

平然と言った。

「…貴様、あとで説教をくらってもしらんぞ」
「大丈夫だ。
途中で逃げるから」

その言葉に、奢乙は呆れた顔をした。

「入ろうぜ」

後ろを向きながら入った烈は、とん、と何かにあたった。

「ん?」

嫌な気配に振り向く。
「何をやってるんですか、羅神君?」
「…教頭………先生」
教頭、といいかけ、危うく先生と付け足す。
「今まで、授業だったはずですけどね。
ここで何をしていたんですか」
「あんたに関係ないだろ、新任」
「…口が悪いですね。髪の毛までそんな色に染めて」
「染めてねぇ。
誰がこんな年寄りみたいな色に染めるか」

むっとして、きらきらひかる銀色の髪を握る烈。

「おや、後ろの子も…」

無視され、舌打ちをする烈。

「私も染めてません」
真顔で答える奢乙。

「嘘つきなさい。
日本人がそんな髪の毛の色のわけないでしょう」
「違います。
地毛です」
「いい加減にしなさい」

奢乙は眉ひとつ動かさず、
「違うといっているだろう。
いい加減にするのは貴様のほうだ、たわけ者」

「なっ…!!
教師に向かってなんですか、その言いぐさは」

そこで、烈が割り込んだ。

「いい加減にしろよ、教頭。
地毛だって言っているんだ。
新任のくせにでしゃばるんじゃねぇよ」

凄みを帯びた声音に、教頭が後ずさった。

その時、
「教頭先生、校長が呼んでいますよ」
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