破滅の子守唄
□第四章
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「………」
無言でじっとこちらを見てくるシーアを見て、レアネスはため息をついた。
「そんなに心配しなくても大丈夫だ。
今のところ影響はないと言ったろう」
「…分かってますよ。でも、心配なんです」
レアネスはもう一度ため息をついた。
昨日、刺青の話をしてから、ずっとこんな調子だ。
確かに、悪魔に刻まれた刺青は人体に悪影響を及ぼす割合が高い。
場合によっては死に至る時もあるくらいだ。
理由は分かっていないが、悪魔の強大な黒魔力の影響だとレアネスは思っていた。
その黒魔法の素質があるレアネスは、常人よりも影響が少ないはず。
それを言っても、シーアは耳に入れようとしなかった。
「頑固なものだな」
ボソッと呟くと、
「…なにか言いました?」
「あ、いや、何も?」
笑顔で否定する。
「さて、今日は何処の宿に泊まろうか?」
さりげなく話題を変える。
「んー…。
そうですね、着いた街の宿でいいんじゃないですか」
そう答えたシーア。
しかし、レアネスから返答がない。
「どうかしましたか?」
「…今日は街には着けないみたいだぜ」
突然、レアネスはそんなことを呟いた。
「え?」