ドラゴンクエストV
□プロローグ
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いつ頃からか、魔王バラモスのせいで世界中の皆が迷惑を被っていた。
それで、お父さんが魔王バラモスをやっつける為に旅に出たんだけど…。
毎日届いていたお手紙が、毎月になって、とうとうお手紙が来なくなって。
お母さんが、捜索願いを出した。
王様はすぐに捜索隊を編成してくれて、お父さんを最後に見たというオリビアの岬という場所に派遣した。
捜索隊が帰って来たのは、1ヶ月後だった。
「オルテガは…魔物との戦いの最中、魔物もろとも火山の火口から落ちて…」
それを聞いたお母さんとお爺ちゃんは、ずっと泣いてた。
私は、まだ小さかったからよく覚えてないけど…。
お父さんの硬いおヒゲが好きだったな。
「コーマが父親の遺志を継ぐのは無理か…」
「当たり前ですよ!コーマは女の子…。結婚して子供を産んで、暖かい家庭を築いて幸せになるんです」
「そうじゃな…。バラモスのことは、国に任せるしかないの…」
お母さんとお爺ちゃんは、私が女の子であるということが…なんていうか…気の毒に思ってるのかな。
「コーマ!あっそぼ!」
「ラディル!あのね、聞いてほしいことがあるの」
「なぁに?」
「あっち行こう
、あっち」
私はラディルと手を繋いで家から離れた。
ラディルは、ルイーダの酒場にあるゴールド銀行の店員の親戚で、お父さんとお母さんがいないから、その親戚の家でお世話になってるの。
2歳年上なんだけど、私の大事なお友達!
「ねえ、どうかしたの?」
「あのね、お母さんとお爺ちゃんは、私が女の子だからバラモスをやっつけちゃ駄目なんだって」
「そりゃそうでしょ。危ないよ。コーマはバラモスをやっつけたいの?」
「うん…。だって、バラモスのせいで皆が苦しんでるっていうし…」
「…そうだよね…。そうだなぁ…」
ラディルは手を叩いた。
「強くなればいいんじゃない?」
「強く?」
「剣と魔法を鍛えればいいんだ。メラくらい使えない?」
「む…無理だよ!こ…これから頑張る…」
「そっかそっか。じゃあ、将来、コーマがバラモスを倒す為に旅に出る時は僕も連れてって。それまで僕も頑張るから」
「本当!?ありがとう!約束だからね!」
「うん、約束だ!」
ラディルとそう約束を交わしてから一年後…。
まさか、あんなことになるなんて…。