ドラゴンクエストV
□冒険の旅(全12ページ)
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ルイーダの酒場は、まだ午前だというのに賑わっていた。
そして、戦士や魔法使いといった人達が私をチラチラ見てくる。
私はカウンターにいたルイーダさんに話し掛けた。
「ようこそ、ルイーダの酒場へ」
「王様が、ここで仲間を集めなさいって…。どうすればいいの?」
「勇者であるあなたと旅をしたいと思っている人達の名簿があるんだよ。その中から選ぶといいさ」
「う〜ん…。見てみるだけ見てみようかな。見せて」
私はルイーダさんが差し出した名簿を見た。
戦士や魔法使い、武闘家…商人や盗賊。
様々な職業の人達がいるけど…。
(…ラディルの名前がない…)
私の様子に気付いたルイーダさんが苦笑いを浮かべた。
「ラディルとは、手紙でやり取りしていたんじゃないのかい?」
「先月までね。最後の手紙に、ダーマ神殿に行くって書いてあって…。それから来てないの」
「ダーマ神殿か…。就職や転職を希望する人が必ず行く場所…かねぇ。どこにあるかまでは分からないね」
「そっか…」
「どのみち、一人で旅をするのは危険だよ?この店にいる人達の名前は名簿にあるから、二人は連れて行くことをお勧めするよ」
「うん、そう
する。ありがとうルイーダさん」
私は酒場の中を見て廻ったが、どうもイマイチだと息を吐いた。
(遥かに年上の人達ばっかりだな…。二階はどうかな)
私は階段を上がり、二階へ赴いた。
すると、奥の広間に僧侶のおじさんとバニーガールがいた。
「アタシ、今は遊び人やってんだけど…将来は賢者になりたいのよね」
「賢者とな?うむ、聞いたことがあります。遊びを一生分満喫した者が、まれに賢者となる資格を持つと。お若いのに感心ですな」
「アタシ、元々はアッサラームでベリーダンスを踊ってたんだ。けど、ここまで育ててくれた父親のことを考えると、何だか申し訳なく思えてきてね」
「なるほど。親は大切にしなければなりませんね」
「僧侶さんは、どうして名簿に登録したんだい?」
「私は…魔物に家族を皆殺しにされましてね。魔物の親玉であるバラモスを勇者殿と倒したいのです」
「皆殺しか…。まさか、テドンの出身じゃないだろうね?」
「冗談が上手いですなぁ。テドンがバラモスに滅ぼされたのは、もう30年も前ですよ。私はサマンオサ出身です」
「だよねぇ。あ、アタシはイシス出身なんだ。お互い勇者様に選ばれるといいね」
私は二人の会話を聞いて、迷うことなく近付いた。