ドラゴンクエストV

□王家の墓場(全11ページ)
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砂漠は暑かった。

いえ…暑いなんてものではない。

死ぬ…。


「意外と近いんだよ。ほら、頑張って」

「ふぅ…」

「さすがに堪えますな…」


道中、巨大な蟹さん…じごくのはさみ集団に襲われた。

奴らの甲羅は硬くて、鋼の剣でようやっとダメージを与えられた。

けど…。


『スクルト!』


硬い甲羅が、より硬くなった。


「スクルトは集団の守備力をはね上げる呪文…。敵一体にしか使えない私のルカニでは事足りません」

「モロゾフさん。スカラとかスクルトは、攻撃呪文に影響しないんでしたっけ」

「コーマ殿、よく勉強されている。その通りです。バギッ!!!」


モロゾフさんの呪文で、じごくのはさみは怯んだ。

私は鋼の剣を突き出し…。


「ギラ!!!」


呪文を放った。

閃光が炎となり、じごくのはさみ集団は息絶えた。


「今度はギラですか!!」

「コーマ…凄い…」

「もっともっと強くならなきゃ、バラモスを倒せないもの…。でも…暑い…」

「ヒャドが使えれば…いやいや…」

「ほら!あれだよ!」


エリシアが指差した先に、大きな城と町が見えた。

あれがイシス…。

私達はイシスに到着し、
まずは王様に謁見する為に城へ向かった。


「イシスを治めているのは、女王なんだ。すっごい美人なんだよ」

「それは楽しみですな」

「モロゾフさん、発情しないでよ?あっという間に女兵士に捕まって牢屋行きになるから」

「あなたは私を何だと…」


どうも二人の会話がおかしい。


「モロゾフさんは、そんな不潔じゃないよ」

「アハハ〜。そういうことにしておくさ」

「やれやれ…」


私達は女王と謁見した。

女王は…美しかった。

同じ女性ながら、ドキドキする…。


「アリアハンから来ました。お目にかかれ、光栄であります」

「遠路はるばる、ようこそ。ごゆるりとなさって下さいませ」


女王の座る玉座の隣の部屋から、子供の歌声が聞こえた。


「まんまるボタンはおひさまボタン♪」

「ちいさなボタンでとびらが開く♪」

「東の東から西の西♪」


私は女王に訊いた。


「あの…この歌は…」

「我が国に代々伝わる童歌です。その意味を話す訳には参りません」

「そうですか…」

「ピラミッドには、絶対に近付かないで下さいませ。何かあっても、我が国は責任を持ちません」

「はい…」


私達は城を出た。


「あの童歌の意味、親父なら知ってるかもね。案内するよ」


エリシアの案内で、彼女の実家へお邪魔することに。


「ただいまー」

「エリシアか?!ああ…お帰り。その方々は?」

「勇者コーマと、僧侶のモロゾフさん。バラモス討伐の旅をしてんのさ」

「バラモス討伐!!?」

「あの…エリシア。お父さん、知らなかったの?旅のこと…」


私は不安になった。


「そういえば、話してないね」

「やれやれ…ですな。お父上、我々は引き上げます故、娘さんと話されるがよろしいようです」

「ですね…。全く…誰に似たのやら。どうも、娘がお世話になっていたようで…」


エリシアのお父さんは深々と頭を下げた。

確か、武闘家だったんだっけ。

凄い筋肉だ。


「親父。城に伝わる童歌の意味を訊きに来たんだ。ピラミッドに隠されている魔法の鍵を、勇者様が必要としているんだよ」

「そうなのか…。勇者には協力しなければならないな…。しかし…勇者は女性だったのか。知らなかった」


エリシアのお父さんは、家屋へ促してくれた。


「コーマさん、モロゾフさん。どうぞお入り下さい。エリシアがお世話になった分とまではいきませんが、せ
めて今日はうちでお休みになって下さい」

「ありがとうございます」

「すみません。お世話になります」


私達は頭を下げ、お邪魔した。
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