ドラゴンクエストV
□滅びの村(全21ページ)
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ラディルもモロゾフさんも、見張り台を降りて来たエリシアを見て、私を見上げてきた。
「オイオイ…精子とか聞こえたぞ」
「コーマ殿に何を吹き込んだのですか?」
「何でもないよ〜♪」
私は溜め息をついた。
どーやって出させるのよ…全く。
「…男と女って…大変なんだなぁ…」
ふと出た言葉。
バラモスを倒さなくてもいいってんなら、喜んでラディルとえっちぃことでも何でもやってやるわよっ。
「それが出来ないから早く強くならなきゃいけないのよ…」
…何だかイライラする。
誰に対して?
もちろん、バラモス。
私はネクロゴンド山脈を睨んだ。
「野郎ッ!!!絶対に倒してやる!!!」
「コーマ!どうした!」
下でラディルが叫んできた。
「ラディル〜!愛してるよ〜」
「はいー?きーこーえーなーいー!何て言ったんだー?」
聞こえないならいいのよ♪
私は見張り台を降りて、船首に立った。
「勇者様!何処に船をつけますか!」
船員さんが駆け寄って来た。
「そこでいいわ。バラモスに何されるか分からないから、あなた達はバハラタ近辺まで逃げていて」
「いいのですか?」
「私達にはルーラがあるから大丈夫」
「なるほど。そうでした。イエッサー!」
船員さん達は、本当によく働いてくれる。
バラモスを倒した暁には、ちゃんとご褒美をあげないとね。
「皆!上陸の準備をしてッ!!」
「コーマ殿、いきなり元気になったような気がします」
「フフフ。アタシが言ったことを理解してくれた証さ。コーマ!躊躇も遠慮もする必要ないんだよ!その調子でじゃんじゃん指示しな!」
そうか…こういうことなんだ。
エリシアがハッキリ言ってくれたお陰で、私の中で何かが目覚めた。
それは…“自分に対しての自信”だ。
いつかモロゾフさんも言ってた。
私達に足りないのは自信だと。
「コーマ」
ラディルが微笑んでくれた。
そうなの。
「ラディルは、こんな女でも好きだと言ってくれる。だから私…自信持てた」
すると、エリシアが抱
きついてきた。
「やぁっと気付いたか!アタシやラディルが強いのは、賢者だからってだけじゃない!自分に自信がついたから強いとアンタが感じたのさ!」
「エリシアとモロゾフさんは、それを教えてくれようとしてたのね。だから私とラディルを無理矢理、引っ付けようとしてたのね」
「ハッハッハ!そういうことです。良かったですな、ラディル」
モロゾフさんはラディルの背中を叩いた。
「あれだけ頭が一杯だったのが嘘のようだ。エリシア、俺…情報の大半を整理出来た!」
「うっそだろー!!?どんな呪文を習得したのさ!!!」
「後のお楽しみだ!コーマ、ありがとう。コーマがそう言ってくれて、俺…自信が湧いた!」
そう言ってもらえて、嬉しかった。
「見てなさいよ、バラモス!私達がどれだけ強くなったのかを!」
私達は船が止まると、船から飛び降りた。