ドラゴンクエストV

□黄金の国(全11ページ)
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氷の大地に建っている家を目前に、いきなり氷山が地面から現れた。

鋭い目付き、氷山が腕のように振り上げられた。


「クッ……!」


私はドラゴンシールドで攻撃を受け止めた。


「ひょうがまじん…か」

「一匹だけみたいだから、さっさと片付けるよ。メラミ!」

『ガアアアアア!』


ひょうがまじんは一撃で息絶えた。


「さっすがエリシア!」

「……………」

「さあ、コーマ。早く家に」


私は頷き、家のドアを開けた。

…あれっ?鍵がかかっていない。


「ごめんくださぁい」

「ほう?こんな地までやって来る旅人がおったとは…。まあまあ、入りなさい」


老人が快く家の中へ招き入れてくれた。


「お爺さん。一人で暮らしてるんですか?」

「不思議かの?」

「ええ、まあ…」

「まあ、深い意味はないがの。ふぁっふぁっふぁっ」

「はあ…」

「お主ら、旅人なら、へんげの杖という物を知らないかの。ワシはそれが欲しくて欲しくて」

「どうしてですか?」

「へんげの杖は色んな生物に化けられる代物なんじゃ。ワシは、それでバニーガールになって、ぱふぱふしたいんじゃ!」

「Σぱふぱふ!?」

「そういう
使い方もあったのか…。爺さん、ただ者じゃないな…」


ラディルは少し溜め息混じりに、大きな袋からへんげの杖を取り出し、老人に手渡した。


「Σおほほほほほほほほほほ!?これがへんげの杖なのかの!?」

「ああ…」

「こ…これで、ワシも………むふふふふ」

「…さて、用事は済んだ。コーマ、行こう。年寄りの独り遊びを邪魔しちゃ不味い」

「そ…そうね…」

「そうじゃ!お礼をせねばな!」


老人は棚から何やら取り出した。

真っ白な棒………じゃない。


「きゃああああああああッ!!!!!」
「キャアッ!」


人間の骨だ!

私はエリシアと抱き合う。

何て物を持ってんのよ!このジジイ!


「これは“船乗りの骨”なんじゃ」

「船乗りの骨?」


ラディルが受け取り、訊いた。


「こうやって、糸に吊るして使うんじゃ」


ジジイ……いや、勇者が暴言を吐くなんて駄目ね…。

老人が船乗りの骨を糸に吊るすと…。


骨はくるくる回り、骨に文字が浮き出た。


「西に654、南に661。何だこれ」

「幽霊船の場所を指し示すんじゃ。あいにく、ワシは見たことがないがの」

「幽霊船か…。有り難く頂戴するよ」



私達は家を出た。


「ラディル……。気持ち悪くないの?人骨だよ?」

「気味は悪いけどね…。ゴホッ、ゴホッ」

「風邪でも引いたのかい?」

「…そうみたいだな。そんなことより、モロゾフさんを探さないと…」

「ラディル……?」

「俺の推測が正しければ、モロゾフさんはあそこにいるのかも…」

「あそこ?」

「ルーラ!」


一瞬にしてアリアハンに着いた。


「ど…どういうこと?」

「………ああ、そういうことかい。アンタにばっかり頭を使わしちまって…悪いね」

「気にするな。少し待っていてくれ。ゴホッ、ゴホッ…」


乾いた咳をしながら、ラディルは街へ入って行った。


「そもそも、アタシらは勇者と戦いたいからルイーダの酒場に登録したんだ。もし、勇者とはぐれて一人になったら戻って来るって決めていたからね」

「へぇ…」


しばらく経ってから、ラディルがモロゾフさんを連れて戻って来た。
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