話
□嘘
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現在エイトはハジメのアパートに呼ばれて来た。
何でか、というと「水泳のコツを教えて欲しい」とかなんやらで。
そんなの絶対嘘だってわかってるけど。
俺の性格だからわざと騙されてハジメの家まで足を運んだ。
嘘
「ハジメちゃん、用は何?」
でもハジメだってわかってるはず。
今の時期にいきなり水泳の話題が出ることすら耳を疑うのに、
それをまたエイトがまんまと騙されて受け入れるなんて事なんか無いって。
「んと…それはな…」
いつもどちらかというと強引ぎみなハジメが何か勿体ぶってるのでますますエイトは何か気になり、勿体ぶらないでよ、と攻めに入る。
何時もの逆。
でも未だハジメは口を開かなかった。
「まぁ、次第にわかるんだ。もうすこしここにいろよ」
どうせならもっと攻め立てたい所だけど俺ってそんな事するキャラじゃないし。
ここは何時も通り従っておこう。
沈黙の中に少々言葉があったりしながら時間はどんどん過ぎていった。
この沈黙もお互いを居辛くする物では無くて、合って当然かのような物。
不快には思わない。寧ろお互い心地よかった。
その沈黙の中、ハジメは窓に手を掛けた。
そしてカーテンを開けるともう外は暗い。
あぁ、やっぱりな。
その時、ハジメに声をかけられた。
「エイトも来いよ」
エイトはそれに引き寄せられるかの様に部屋の中の狭い距離を小走りでハジメの所へ行った。
「うわぁ・・・」
其処には、何色もに光る電飾船。
ハジメの住んでるアパートの前にある大きな川を侵食するかのように此方に向かって来る。
「今日だけ、らしいんだ」
それを一緒に見るために。
「ハジメちゃん・・・」
なんだよ、とエイトの方を向くハジメに、エイトは「ありがとう」と微笑んだ。
ハジメは少し頬を赤く染めてから一人よる二人で見る方が良い、という理由を述べた。
しかしエイトはそんなの表だけだって事なんか百も承知。
そしてもう一度声をかけるとハジメはすこしたるそうにして此方を向いた。
「あの、大好き、、だよ」
こんどはしっかりと顔を紅潮させて、いきなりなんだよとハジメはあわてふためく。
でもエイトの優しい笑顔を見て落ち着いたのか気をとりなおした。
「別に、今更」
そんな事を口にしながらも今ハジメは物凄く気分が良くなった。
それは、お前だけじゃねえよ、と。
そして近いながらもお互い顔を見合わせると、何故だかわからないが笑いが込み上げて来た。
小声から大声へとだんだん大きくなる笑い声。
この夜、二人の笑い声は近所に響き渡っていた。
*
エイト怖いですね…
えっと、有難うございました!