□寂しさに溺れる音
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「誰だよ、こんな時間に」


現在AM2:00過ぎ。携帯電話がバイブレーションと共に音を立てながら光る。
こんな真夜中に電話をかけて来る奴がいるとは。

ハジメは少々頭に来ながらも不思議な感覚を抱き、携帯電話を手にとった。


寂しさに溺れる音


しかしその時にはもう既に着信は履歴となり、変わりに一通のメールとなっている。

確かめた訳では無いが、どうせ同じ人物だろうと予想がついた。

しかし、そのメールの内容を見た瞬間にハジメの顔は一瞬にして激変し、迷惑、不思議等と云う感覚は跡形も無くハジメの頭の中から吹き飛んだ。




『ハジメちゃん,会いたいよ』




「エ…イト!?」


確かにここ最近会って無く、ハジメだって会いたいと思っていた。しかし何故こんな時間に?ハジメは不審な感覚に包まれた。


すると、また一通メールが来た。




『苦しいよ、』




…ハジメの頭の中に、嫌な光景が浮かんだ。
今度はハジメから電話をかける。
エイトは電話にでなかったが、通話中になった。


「エイト、エイト!!」


電話を強く握る。込み上げてくる気持ち全てを力に込めた。
電話をエイトといわんばかりに話しかける。


電話越しには荒い呼吸が聞こえた。
予想通りの光景が目に浮かんだ。


「ごめんね、、、こんな、時間に、、、」


「おま…っ馬鹿野郎!何してんだよ!」


何も考える事が出来ず、知らぬ間に怒鳴っていた。


何だろうこの感情は。
取り残されたような感覚か、裏切られたような感覚か、

しかし不安で揺らいでいる事だけは確かで、冷や汗をかいた。反面、奥から込み上げてくる熱い感覚からは興奮が感じ取れる。


「ごめ…も、限界」


エイトは寝付けず、片手は携帯、余ったもう一つの手は両脚の間に定着し、手の中に自身を収めていた。
その手は必死に己を上下させる。快感を求めて体を何度も何度も揺さぶっている。

そんな状況を余す事無くハジメは読み取っていた。
それを踏まえて何度も携帯に向かって叫んだ。


「ふさけんな!お前一人なんて認めたくねぇんだよ、何で俺一人大人しく待ってなきゃいけないんだ!」


ハジメだって、ずっと待っていた。
お互いがお互いを感し取りあえるようになる事を夢みていた。そんなに遠くない事もわかっていたけど。


『俺だって、今もずっとハジメちゃんの事…ッ』


途中で言葉が途切れた。
携帯が投げ捨てられた音がして、通話は切れてしまった。


「は……はぁ…っ」


変わりにエイトの自身を握っていた片手は白濁の液体に塗れ、シーツすらエイト自身全てを濡らす事となった。


「どうしよう…これ…」



その頃ハジメはベットに寝転がる。知らぬ間に立っている程興奮していたなんて。
ハジメは何故か一滴涙が零れた。


「くっ…そぉ!なんでだよ…!」


ハジメが両脚の間に手を翳したら、とてつも無く濡れているのが下着の上からでも感じ取れるまでにすらなっていたなんて。

ハジメはぐっと感情を堪えていた。




 

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