第一駄文書物!
□突然現れたソイツ
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「あ、起きたわ!」
マタタビを袋に入れ匂いが出ないように結んでくれたリンネはソファーに寄った。
「気分はどう?」
「ぁ……、ありがとうございます」
「大丈夫か?」
「はい……」
年にしては礼儀よく返事をする少女だ。
まぁ、私はと言えばチュウチュウ氏をまたしても取り逃がした事よりも、落としてしまったペン入れを見つめていた。
「何で落ちてきたの?」
「えっと、風船を取りたくて……」
「あぁ、あれか」
木に絡まる風船を見つめるヨミエル。
「にー、……」
(落としてしまって悪かった……)
声に気付いたのか少女が言った。
「わぁ!可愛い猫ちゃん」
「シセルって言うの。貴方を助けたのもシセルよ」
別に鳴いただけだが……
「そっか、ありがとうシセル!」
少女に礼を言われて背を向けているのも失礼な話なので、少女の方へ振り返った。
「……」
青い瞳とぶつかった。
「そう言えば名前は?」
「にー、」
新しい運命を感じて、ヨミエルと同じ事を聞くと、少女は真っすぐな瞳で笑って答えた。
「私の名前は―――」
突然現れたソイツ
(私の初恋が始まる瞬間)
〜END〜