アリスの『想い』
□はじめまして?
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曇り空が広がるお茶会の席に一つの人影が見える。
真っ赤な薔薇は無惨にも散り枯れてしまい、すで女王様は首を飛ばされ居ない。
もう案内役のチェシャネコすらも行方が分からない世界。
アリスの為の世界。
お茶会など、すでに終わってしまっている状態の中、一人の少女が座っていた。
「あら、こんな所に人が?珍しいわね。もう、誰も来ないと思っていたのに…」
振り返える少女。
「はじめまして、私はアリス。最後のアリス。貴方の名前は?」
そう聞くが、誰も返事をしない。
首を傾げるアリス。
「変ね。もしかして、名前がないの?それとも言わないだけ?」
アリスはふわりと微笑むと言った。
「まぁ、どちらでもいいわ名前くらい。どうせすぐに忘れてしまうのだから」
寂しげに瞳を伏せるアリス。
「じゃあ、せめて私とお話してみない?もうすぐで終わってしまうのだから、少しお話してもいいでしょ?」
そう言うと、アリスはティーカップを差し出した。
「ほら座って。聞いた事もないお話をしてあげる」
アリスは空を仰いだ。
「私も前のアリスも、その前のアリスもこうして終わって行ったのかしら?」
はっと我に返るアリス。
「ごめんなさい。少し独りの時間が永すぎたわ……」
ティーカップの紅茶を一口啜る。
「じゃあ、始めましょう」
アリスのお話を……ね?