貰い物!
□泣き心
3ページ/16ページ
気がついたら日向家からだいぶ離れたところにいた
よくこんなところまで自分は走り続けたものだ
「馬鹿みたい、」
喧嘩して、言い合って、家を出て、
これまでに夏美と喧嘩をして同じことが何回もあったが
こんなに胸が苦しくなったのは初めてだった
夏美が言った言葉も言ったときの表情も頭から離れない、苦しい
歩くのも億劫になってその場にしゃがみ込んだ
辺りにはあまり人気はない
「どうしようかなぁ」
家には戻りたくない
夏美と顔を会わせたくない
ぼうっと前を見ていると突然視界が暗くなった
感触は少し冷たくて柔らかい
「誰でありますか?」
殺気がまったくない
きっと自分の知り合いの誰かだろう
「ケロちゃん、驚かないとつまらないわ」
くすくすと女の子の高くて柔らかい声が聞こえた
懐かしさを思い出させる声に苦しい気持ちが少しだけ和らいだ
「プルルちゃん?」
「正解よ、」
視界が開け後ろを振り向くと微笑む幼なじみが立っていた