夢のかけら

□1話
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 夢。

 日本とはかけ離れた風景。ヨーロッパ地方のような雰囲気だが、明らかに違う。

 その夢の中では剣を持ち歩く人がいたり、魔法まで使う人もいるのだ。

 見る夢はいつも同じではないけれど、出てくる人はいつも同じ男の人。

 
 毎回顔を見ようとしてもぼやけてしまってどんなに近くにいても見えない。

 だけど、なぜか同じ人だとひなたはわかっていた。

 

――― あなたは誰?



 
 火の中をあの人の手に引かれて必死で走る夢。

 すごく煌びやかでお城の中のような廊下をあの人がひなたを担いで逃げるように走る夢。

 今まで楽しい夢は見たことがない。いつもあの人が出てくる夢は逃げたり、助けられたりする夢。


 だけど、その中で一番多く見る夢だけは違かった。
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