江戸村でござる
□お江戸物語*才蔵とお艶A蝉時雨
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ミ〜ンミンミンミン…!
ミ〜ンミンミンミン…!
蝉時雨の中を、才蔵親分は張り込みをしていた。
それでなくてもクソ暑いのが、ますます暑く感じる蝉の声に、少々苛ついていたので、目当ての男をとっ捕まえた時、手荒な扱いになったのは致し方ない
番屋に引き渡し、同心の神野を呼びに行って、取り調べに立ち会った。
汗だくの身体で、湯屋の終い風呂に飛び込み、出て来た時には、かなり遅い時間になっていた。
もう、とうに店じまいをした我が家に帰り「お艶、今帰ったぜ。」と恋女房に声をかける。
お艶「お帰り、お前さん。今日は暑かったねぇ。冷やでいいかい?」
才蔵「ああ。一本頼まぁ」
井戸で冷たくして置いた豆腐の冷や奴に青紫蘇と茗荷を薬味に、瓜の塩漬け。味噌を付けて焼いたおむすび。茄子のしぎ焼き。
口当たりが良い、食欲をそそる物が膳に並んでいる。
才蔵は思わず相好を崩した「美味そうだ♪」
お艶に酌をして貰って冷や酒をあおる。「ん〜、堪えられねぇな♪」
腹を満たし、食後のお茶を飲んだ。