江戸村でござる・その弐

□お江戸物語・江戸っ子
(Web拍手小説より)
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お艶はぺし☆と才蔵の手を叩いた。

「いってえなあ…」手をさすり文句を言う。

「だって、危ないじゃないか。今お前さんの耳掃除をしてるのに…」

お艶の膝を枕にした彼は、着物の裾を悪戯し始めたのだった。

「ち、目の前にこんなご馳走置くのが悪い」

才蔵親分は今日は非番。

恋女房に久しぶりに甘えている。

お艶は嫣然と笑った。「お楽しみはあ と で♪」

「俺はなぁ、好きなモノは真っ先に食うんだよ。だからこそ美味いんだ」

「お前さんは気が短いね。あたしは、後に残すクチなの。はい、反対側。」

「江戸っ子は気が短いんだ…えいっ、チンタラ待ってられるけぇ」

彼女の手から耳かきを取り上げ「これは、後あと」と笑う。

「もう、しょうがない親分さんだよ」苦笑する女房に「そんなトコにも惚れてるんだろ?」才蔵は、ヌケヌケと言った。

「…バカ…」彼女は赤くなり、袖で彼をぶつ真似をする。

「同じバカなら、惚れなきゃ損ソン…」

それに対するお艶の返事は才蔵に唇を塞がれ声にはならなかった…



春まだ浅い昼下がり。風にも冷たさが残っいる。

…だが、2人の部屋の中だけは初夏のような暑さになった。

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