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□序章
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〈序章〉@誕生編
ギルは思わず「なんで私が!」と叫んだ。
彼の目の前にいるのは、高名な占い師グレッグ。
グレッグは輝く水晶玉を指し「なんでって、作者の意志!もとい、こうして、この水晶玉に出てるんです。貴方こそが光の【勇者】だってね。」
ギル「あの……この年で【勇者】はきついんだが。せめて賢者じゃダメか?」
〈ファンタジー世界〉の【勇者】は過酷な職業だ。
転職もできず、世界を守る為、危険な旅に出て、修行を積み、強大な悪と戦わなくてはならない。
グレッグ「駄目です!こればっかりは、貴方の使命。この世の誰にも代われません!…さぁ、お城へ行って王様と会って下さい。」
ギル「…せめて、もう少し若い時だったらな…。」
何でそうなったのか…
ギルは、虫の研究をする学者だった。
2人の弟子と一緒に、穏やかに昆虫採集や標本作りの日々を送っていて、戦いとは無縁だったのだ。
…今日までは。
ギル「うう…、城へなんか行きたくない…。」
事の始まりは、パターンのごとく、世界を闇が覆い始め、それを何とかしてくれるハズ(!)の【勇者】を探す為、ベガス国王のエクリーは、『彼の占いにハズレなし』と謳われるグレッグを招いた。
そして国中の16歳以上54歳以下の男性は、必ず【勇者】かどうか、占い師に見て貰うよう、通達を出していたのである。
なぜ、54歳と言う上限が?と言うのは、国王が55歳だからである。(つまり、国王は逃げたのだ。)
ギルは今年54歳、ほぼギリギリ。
中年、いや、老境に入りつつある年齢だ。
それなのに
『キツイ』旅で
『キケン』なモンスター達と戦い
場合によっては毒沼や洞窟内の『キタナイ』ダンジョンにも行かねばならない
3K【勇者】になるとは…
彼が嘆くのも無理はない。
ギルはグレッグと連れ立ち(何しろ【勇者】に全く見えないので、その保証人)城に向かった。
グレッグはウキウキと「や〜、見つかって良かった♪来る人、来る人、駄目で、明日にでも、国王陛下に年齢制限を撤廃して下さるように、進言するつもりだったんですよ〜♪」
どんよりとした気分でギルは「…君は気楽でいいな。私はこれから旅に出て大変な目に遭うんだぞ。」
城に着き、王に取り次いで貰うようグレッグが話す「陛下に【勇者】が見つかったとお伝え下さい。」
早速、2人は王の間に通された。
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