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□マイアミ編
Aケイン一族
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Aケイン一族


低いがよく通る声のホレイショが、静かに語り始めた。

ホレイショ「そうだな…やはり最初から話そうか。事の起こりは遥かな昔…そう…今から800年ほど前だ…世界は闇に包まれようとしていた…。今のようにな。【勇者】の予言を聞いた事があるか?」

ギル「いや、知らない。」

ホレイショ「…『暗黒の闇濃くなりし時、光の【勇者】生まれん』…。魔の闇が濃くなる時こそ光の【勇者】が出現する…。ギル、今は貴方だ。」

ギル「…。」

ホレイショ「800年前もそうやって【勇者】は現れた。彼は、不思議な力を持っていたと伝わっている。

倒したモンスターでさえ、【勇者】に喜んで従うようになったそうだ。そして彼らも仲間として闇の帝王と戦った。

…【勇者】には3人の人間の仲間がいた。

聖なる力を持つパラディン…僧侶と武道家が合わさった者、強大な魔力を持つ賢者、それから魔法戦士。」

ギル「君の先祖だな。」

頷くホレイショ。「そう、我がケイン一族の先祖に当たる。」


ホレイショ「彼らは長く苦しい旅を続けた。オーブを集め…」

ギル「オーブ?」

ホレイショ「オーブを集める事で天空の神殿に行ける…と伝わっている。そこで【勇者】は究極の武器を手に入れ、闇の帝王と戦ったそうだ…。戦いの後は、その武器は消えたらしい。」

ブラス「消えた?」

ホレイショ「…多分人間界にあっては、いけない物なんだろう。【勇者】が使えば山をも崩したと言うから…。」

ギル「…確かにそんな物を何時までも持っているのは、真っ平御免だな。」


驚きを込めホレイショはギルを見つめた。「なるほど…。だから貴方は【勇者】に相応しいのか…。力ある武器を、やたらに振り回すのを良しとしない。抑制が利いている。普通、強い武器は見せびらかしたくなるからな(笑)」

キャサリン「男って根本的に変わんないのよ。棒きれ振り回す子供とね。」

ブラス「おっと…痛い所を突かれた(笑)」

ギル「…悪い、話を続けてくれ。」


ホレイショ「苦難の末、遂に【勇者】と仲間とモンスター達は闇の帝王を倒した。

そして【勇者】は…仲間のモンスターと一緒に、たった1人で立ち去ったそうだ。

『平和になった今、この子達がいる場所がない。人は、もうモンスターを見たくないだろう。この子達がどんなに人間に…平和の為に尽くしてくれたかも忘れて…だから、私は彼らと一緒に人が普通には来れない土地を探す。』そう言って…。

武器は消えたが、彼は自分の使った【勇者】の防具を俺の先祖に託して行った。鎧、盾、兜…俺の一族は、それを代々守って来たんだ。」
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