遂にやっちまったなぁ…CSI合同捜査♪&よもやま話☆

□ベガス×NY合同捜査 修正済み
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ACT1
NY犯罪昆虫学会議


会場の壇上に1人の初老の男が立っていた。

白髪混じりの髪に髭、熊のように太めの身体…しかし少年のような純な部分を持つ…ベガス市警CSI主任で、昆虫学者の博士号を持つギル・グリッソムは満場の聴衆の前で講演をしていた。

熱心にノートに書き留める者、質問事項をまとめる者…聞いている者の殆どが、グリッソムと職業を同じとするCSI捜査官達だった。

より巧妙になりつつある凶悪犯罪。

そんな中で犯人の奸智に長けた罠を突破し、証拠を集め逮捕しなければならない。

グリッソムは、犯罪昆虫学…蠅の成長を追う回帰法など、昆虫の習性から、隠された真実に迫ろうとする、全米でも数少ない専門家だった。


この珍しい科学…理論的に体系づけられるのは、およそ20人にも満たない。

だが、1つでも多く、犯罪を暴く手法があるのなら…。

それがCSI捜査官達の思いだ。



照明を消した会場で、巨大なスクリーンが明るく光っている。

グリッソムが映し出されたスライドに説明を加えている。「…次にこれです。毛布にくるまれた遺体の蠅は、実際の回帰法に当てはまりませんでした。しかし豚を使った実験の結果、毛布でくるまれ、更にきつく縛られた遺体に付いた蛆は、成長が遅かった事が証明されました。まず、この事件がおかしいと思ったきっかけは蠅の種類です。遺体は山に捨てられてましたが、山間部に生息する蠅では無く、都市部の蠅でした。」

蠅は蠅でも、その種類に着目した事にどよめきがあがる。


「…次はこれです。同じく回帰法の実験で、犯人のアリバイが証明されましたが、それには仕掛けがありました。実験の豚にあらかじめ、殺虫剤を塗り、蠅の成長を遅くしたのです。見て下さい。ビデオに撮影された蠅が、動いてないのがお分かりになるでしょう。」そのビデオが映され、グリッソムが映像を指摘すると、再びどよめきがおこった。

更に講演は続いた。

DNAや薬を遺体を食べた蛆から取り出した事…犯人によって形を成さなくなった被害者の鑑定方法の1つを紹介する。

グリッソムの講演内容は、彼の斬新な発想と緻密な実験、鋭い観察力を示し、聞いているCSI達には良い手本となった。

ベガス市警CSI主任として、凶悪犯罪の解決率を全米第2位までに押し上げ、その実績は折り紙付きだったのである。


「…最後にひと言。口のきけない昆虫ですが、彼らはありのままに生きています。その習性や個体に何か変化があった時は、より大きな作意や外的な条件が加えられたという事なのです。彼らが変化した…時には、それこそが証拠になり得る事を頭に入れておいて下さい。では、これにて話を終わりにさせて頂きます。」

スクリーンが消され、照明が付いた。

活発な質疑応答に応じ、講演は終了する。

彼が一礼して演壇を降りると、一斉に大きな拍手が湧き上がった。



「…あの、グリッソム博士?」

解散となり、会場を後にしたグリッソムが振り返ると、目つきの鋭い男が立っていた。

濃い茶色の髪に緑の目…知性と、何か強い意志を感じさせる顔の男だった。
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