江戸村でござる

□お江戸物語*籐恋歌
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夢かと思った……

恋しい男(ひと)の幻かと……

一日足りとて忘れた事がないあの方。

その思いが遂に形になって現れたのかと思った。

けれども、それは夢でも幻でも無く……

思いを込めて禿に託した藤の花。

あの方は受け取り、頷いて下さった…。

ああ…!覚えていて下さったんだわ…!


太夫は涙で前が霞みそうになる。


……右京様!
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