江戸村でござる
□お江戸物語*才蔵とお艶Cクチナシの花
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お艶はそれから、手早く食事の支度をした。
炊きたてのご飯。
熱々のネギと豆腐の味噌汁。
芋の煮っ転がし
漬け物
それに鰹。
才蔵「お♪鰹か!」
見栄っ張りの江戸っ子は鰹に限らず、初物を誰よりも早く食べたがる傾向が強い。
当然値はかなり張るので、出たからと言って、すぐに口に入れられるのは、大店の金持ちぐらいだ。
結局、庶民の才蔵達が食べられるのは、かなり遅くなって…魚河岸でも鰹が珍しくもなくなり、値段もボチボチ落ち着く頃からである。
三太は満面の笑みになり「オイラ、鰹は今年、初物っすよ。初鰹、女房を質に入れても食いたいってね♪」
お艶「…おやぁ?お前さん、そうなのかい?」亭主を怨ずるように軽く睨む。
才蔵はブルブル首を振り「ンな事するけぇ!大事な女房だ。勿体無い。…おう、三太にはやらなくていいぜ。この罰あたりめ。」
三太「親分〜。」
お艶「…そうしようかね」
泣きを入れる三太「姐さ〜ん。もう勘弁しておくんなさい。失言でした!」
その情けない顔に笑ったお艶は、ちゃんと三太にも出してやり、3人は賑やかに食事を取った。
食後の茶をのんびり喫していた三太は、親分の微妙な合図に気が付いた。
三太「…!あの、オイラそろそろ…姐さん、ご馳走様でした。美味かった!」
お艶「え?もう帰るのかい?」