江戸村でござる
□お江戸物語*才蔵とお艶H決意
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才蔵はまだ意識のないお艶の側にいるのがいたたまれず、惨劇のあった“いわきや”を覗きに来たのだった。
実際、側にいた所で役には立たず、やきもきする事しか出来ない。
“いわきや”は岡っ引きの父親と八丁堀の旦那達が現場を調べ終え、ガランとしていた。
割れた丼などが散らかったままの店。
親子が流した血がそのままで、以前の店を知る才蔵には胸をつかれる情景だった。
何気に割れた丼の欠片を拾い上げ、思いついた。
…そうだ。この俺だって“いわきや”がこんな風になったのを見ると辛いんだ。
娘のお艶はもっと辛かろう。
このままにしといちゃ、可哀想だ。
…ここで思い出すのは、一家が揃った幸せな記憶だけでいいよな…