江戸村でござる
□お江戸物語*才蔵とお艶I第3部
2ページ/161ページ
目を丸くするお艶「全員?ホント?」
佐七「ああ。全員牢屋だ。」
才蔵が口を挟む。「じゃあ、伊丹も?」
佐七「おう。野郎、バッタにビビって、年貢の納め時になったぜ。」
才蔵「…はい?」
お艶「…バッタ?」
佐七は、鳩村と一緒に伊丹を罠にかけた事を話した。
お艶はパチパチと拍手し「小父さん、すごーい!格好良い!」と手放しで賞賛する。
佐七はニヤニヤしながら倅をからかった。「…ほれ、才ちゃん、聞いたかよ?お艶坊が俺の事格好良いってよ。」
才蔵「…別に。岡っ引きは格好良いだけじゃの仕事じゃないだろ?」精一杯見栄をはったが、内心面白くないのはバレバレ。
佐七「ほー。…言うようになったじゃねぇか。確かにお前の言う通りだ。格好良いだけじゃねぇやな。汚れ仕事や、張り込みや、時には女装したりもしなきゃ。な?才ちゃん。」
途端にわたわたと慌てる才蔵。
お艶「…女装?」
佐七「まあ、岡っ引きは犯人を捕まえる為なら色々やるって話さ。」
「…大変なのね。」と感心したお艶は、才蔵の顔をつくづく見て、「…そうね。才蔵さんなら、女装が似合いそう。」
才蔵「!」
佐七は爆笑し、腹を抱えた。