*版権

□日本人は語呂合わせがお好き
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誕生日でもねえし、俺らの記念日でもねえ。
なんだ…何かあったか…?
思いつかないとやばかったりして…

焦る俺をしばらく眺め、答えが出ないのを確認すると、店の奥に入るよう促した。

「何も知らずに来たんですか…。これは運命・ってやつっスかね?」
運命って、この人は何をさらっと恥ずかしいことを…
そんな事を思いながら奥へ向かう。
「お茶、淹れてきますんで座っててください」
「おう…」

なんだ、無駄に緊張する…
いつものように2人でくだらない話でもしながらだらだら過ごすんだろうが、なんか浦原さんの様子がおかしい。
…絶対おかしい。
「つーかお茶淹れるって、いつもは話してる途中で淹れに行くのに……」

考え込んでいたので気が付かなかった、いつのまにか浦原さんがうしろにいたらしい。
「ちょ…っ!?いきなりなんだよ!!///」
「何って、さっきの答えっスよ…」
わけ分かんねえ…。
だって、今俺が浦原さんにされてるのって…
「答えって……だっ、抱きしめてるだけじゃねえか…」
言わせんな恥ずかしい。

「正解っスよん♪」

そう。今、俺は浦原さんにうしろから抱きしめられている…
ついでにでっけえ羽織も俺にかぶさっている。
もう真夏だぞ?正直暑い……ってのはおいといて、
「正解ってどういうことだよ?」
さっきから気になってしょうがない。

「黒崎サン、今日は何日ですか?」
「え?今日…たしか8月9日だけど、それがどうしたっていうんだよ?」
さっぱり分からない。

「黒崎サン、成績良いんじゃなかったですっけ?さっき自分で言ってたじゃないっスか、”抱きしめてる”って。」

抱きしめてる…?抱きしめて…まさか。

「……ハグ…?」

「そうっス!今日は日本ではハグの日なんですよ〜」
そんなことを言いながら、浦原さんは俺の首元に顔をうずめてくる。
……っていうかずっと抱きついてたのかよ。



帽子が、胡座をかいている俺の膝に落ちた。






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