風の旅
□のんびりいきたい
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よく晴れた空、澄んだ空気、綺麗な緑。
まさに自然を満喫するにはもってこいな森の奥にひっそりと存在する、忍びの集落。
僕らは今、そんな集落に背を向けて歩いていた。
目的はそう、卒業試験遂行の為に。
僕らの学校は、やっぱり忍者の学校なだけあって普通に卒業が出来るわけじゃない。
卒業するには、課せられた任務をクリアしなければならないのだ。
課せられる任務はくじ引きで決まり、当然のように他の人とも任務が被る。
だから、卒業できるのは半分だけ。
失格者はまた一年やり直し。
唯一の救いなのは、二人一組って所だろうか。
少し前を歩く、長い髪の女の子。
本来なら、彼女はこんな卒業試験を受ける必要はない人間。
だけどこうして卒業試験を受けているのは、彼女の我が儘な性格のせいだろうか。
「ねえ二葉。祠って何処まで?」
「まだまだ先かな。このペースだとあと二日くらいかかるかなぁ」
「冗談じゃないわ。ほら、急ぐわよ!」
…序盤から走っていくのはイヤだって言ったのは、キミだよ和葉ちゃん。
とまあ、そんなわけで彼女と共に、とある卒業任務の真っ最中。
試験の内容はとっても簡単。
四つの祠にあるお札を集めること。以上。
ただ、その祠には特殊な封印が掛けられていて、封印を解くには祠を守る魔物を倒さなければならないらしい。
そんな試験を引いたもう一組は、僕たちの先輩にあたる二人。
去年は諸事情で試験そのものを受けられなかった二人が、今年に限って参戦してきたわけだけど、この二人は一筋縄でいかないくらいの実力者。
…つまり、勝率は殆ど0に近い。
来年頑張ろうかなあなんて、ぼそっと呟いたのが聞こえたらしい。
和葉ちゃんに思いっきり睨まれた後に、足を掛けられて思いっきり派手に転んでしまった。
のんびりいきたい、っていうかもう帰りたいです
そんなことを言ったら、今度は思いっきり殴られた