長編
□7話 密かに芽生える
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真っ暗な室内。そこには見るからに高性能な機械が何機も設置され、小さなボタンが赤や青や黄色と様々な色を放ち暗い空間でその存在を主張していた。
その室内の少し高台から一人の人物が、高齢者独特の低い声で下にいる者達に言い放った。
「まだ残り三つは見付からんのか」
「申し訳ありません。しかし三つの内の一つは目星がついております。もうしばしお待ち下さい、ワイリー様」
Dr.ワイリー。
ネット犯罪組織、WWWの首謀者だ。ワイリーは髑髏を象った杖で地面をガンッと叩くと。
「一刻も早く手に入れよ!!」
「はっ!」
ワイリーはそのまま奥へと戻って行った。部屋には幹部達のみが残った。
「私は引き続き調べを進めます。貴方方はこれ以上失態を曝してワイリー様のご機嫌を損ねないようにして下さい」
そう言って幹部の一人も奥に消えた。
「偉そうに言いヤガッテ」
「にしても、まだ後三つも残ってんのかよ」
「まあ一つは見当ついたらしいから良いじゃない?」
『まだ三つもあると思うとかったるいよね〜』
一人のPETからナビが詰まらなそうにぼやいた。
『そんな事を言っているとまた五月蝿いのから説教されるぞ』
『は〜。流石の僕だって早く暴れたいよ〜』
「わかってるわよ。もうちょっとだけ我慢しなさい、そしたら好きなだけ遊ばせてあげるから」
『ウフフ〜楽しみ〜♪』
『…』
そんな会話が交わされている中、一体だけやけに静かなナビがいた。普段ならもう少し話しに入ってくる筈なのに上の空。
『…』
「ファイアマン?どうした」
『!あ、いえ。何でもありませんヒノケン様』
『ついに壊れたか』
『元々馬鹿だから仕方ないね〜』
『てめえら燃やされてえのか!』
馬鹿にされ流石にカチンときたようで、いつもの喧嘩腰になった。
「調子悪いのか?」
『いえ、大丈夫です』
「オペレーターのメンテ不足じゃナイノカ?」
「オペレーターもナビもこれじゃあねえ〜」
「あんだと!感電狂に厚化粧女!!!」
「ワッツ!?誰が感電狂ダ!!!」
「誰が厚化粧ですってえええ!!!」
ナビの言い争いから一変、いい年をしたオペレーター同士の醜い言い争いに変わっていた。
『あ〜あ…』
『やれ〜頑張れ〜!』
『せめて止めろよ』
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