鋼
□僕の身を貴方の盾に。
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蛍光灯などはなく電球のみが吊り下がっている薄暗く狭い一室。小さな硝子テーブルを挟んで向かい合うように設置されたソファー。
その部屋の中にはその向かい合っているソファーに座る男性二人、その一方の傍らに立つのが一人、その三人を囲うようにまた数人。
皆とても一般人には見えず、間違いなくその筋の人物ばかりだった。彼等は現在取引中なのだ。
「…という事でいかがかな?グリードとやら。悪い話しではなかろう?」
周りの男達のボスと思われる人物が向かいに座っている男にそう持ち掛ける。
黒い逆立った髪、そして全身黒づくめの服に、丸いサングラスをしたグリードと呼ばれた男。常に口角を上げ、面白がっているとも余裕ともとれる表情だったグリードはくつくつと肩を揺らしながら笑った。
「なるほどなあ。悪くはねえ話しだ」
「ならば交渉成立、ですかな?」
「ああ…」
グリードはまたくつくつ笑いながら俯いていた顔を上げ、ニヤリと笑いながら。
「NOだ」
「!!…何だと?」
「俺は全部よこせって言ってんだ。きっちり寄越すならこっちも渡す物渡すが、それが無理だっつうならこっちも渡す通りはねえ。だろ?」
相変わらず余裕の笑みのままグリードはそう言い放つ。グリードの態度と物言いが気に入らなかったのか周りの男達は殺気立った目をグリードに向けた。
目の前の男は、はあ。と小さくため息を吐く。
「それは残念ですな。しかし、交渉が決裂した以上この話しを聞かれたからには生きて帰すわけにはいきませんな…」
男がそう言うと周りの男達が一斉にグリードに銃を向けた。
するとグリードの傍らにいた人物が腰にある刀にゆっくり手をかけた。
「おっと、この状況で下手な真似はなさらないように」
さもなければ…。という男の言葉を聞いた途端グリードは、がっはっは!!と笑い出した。
「だとよ、ドルチェット」
と、隣で刀に手をそえているドルチェットに視線を向ける。
「グリードさん」
「ああ、ドルチェット…
殺っていいぞ」
「っこの人数相手に余裕ぶっこいてんじゃ…!!」
ついに怒りの限界だった男がそう叫んだ途端、グリードの隣にいたドルチェットは居合で後ろにいた三人を一気に切り裂いた。
「!?撃て撃てえ!!!」
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