長編
□7話 密かに芽生える
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「…というわけで、私の新しい友達のメットルンだよ!」
「メットメット!!」
ナディアはニコニコと笑顔で足元にいるメットールを皆に紹介した。
ついこの間、ファイアマンとともに行方不明になっていた時に出会ったメットールだ。
「メットールだからメットルンか。ナディアらしいね」
『でも本当にウイルスと友達になんてなれるんだな』
「あら、ウイルスも私達ナビもデータという点では同じだもん」
『いや〜でもさあ…』
『良いじゃない。ナディアが友達になったって言うなら』
「そうよ。よろしくね、メットルン。私とも仲良くしてね」
ロールが少し屈んで微笑みかけると、メットルンは嬉しそうに跳びはねてからロールにペコリとお辞儀をした。
『へ〜ウイルスにしては礼儀があるじゃない』
『サーカスにでも出れるんじゃねえか?』
「デカオクン!!」
ナディアがそれはちょっと酷いよ!と睨むと、デカオは素直に謝った。
「ナディアさんに助けられ、恩義を感じた訳ですね。ウイルスにもそういう感情があるという事ですね」
「偉いでガス」
するとメットルンはちょっと照れ臭そうにモジモジしていた。メイルとヤイトとロールの女の子組はそんなメットルンの反応を見て、可愛い〜☆と癒されていた。
「でも、このままじゃ駄目なんじゃないかな?」
と言うロックマンに、何で?と尋ねると。
「ほら、見た目が普通のメットールと同じだからいざと言う時に見分けがつかないし。他のナビにデリートされる危険もあるよ?」
それを聞いてメットルンはビクッと目を見開くと、ナディアの足元に隠れてしまった。
「そっか〜…私がわかっても他人にはわからないんだ…」
どうしよう。とナディアが悩んでいると、ロールが何かを思い付いたようで。
「メイルちゃん!この前作ったアレ、使えない?」
『あ、アレ?ん〜…どうだろ。ちょっと待ってね』
全員が首を傾げていると、ロールの手元にあるデータが転送されてきた。
両手の平にのる程の大きさの可愛らしいソレ。
「リボン?」
ロールの手の中には大きめのピンクのリボンデータがあった。
『この前、ちょっと暇つぶしに作ってみたんだけど…』
「可愛い〜!流石メイルちゃん!!」
「これを付けてれば目印にもなるでしょ?メットルンにあげるわ」
「メット!?」
「良いの!?」
『ええ。こんな不格好ので良ければ受け取って』
ありがとう!メイルちゃん、ロールちゃ〜ん!!とナディアがロールに抱き着くと、メットルンも嬉しそうにロールに擦り寄った。
「アハハ、本当に仲が良いんだね」
「う、羨ましいでガッツ…」
「相手は女の子とウイルスですよ…?」
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