君へ綴る四季

□春
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春、新学期。
校門の桜も満開で、ぶかぶかの制服を着た一年坊主達が溢れる正門を
俺は去年と同じくヒョイと跨いで潜った。


去年は俺もあいつらと同じく、不安とかワクワクとかを沢山大きな鞄と制服に引っ提げて学校に足を踏み入れたけど、今はこの代わり映えのしない学校にそんな物は無くて
興味があるとしたら組分けの発表くらいだった。



新しいクラス編成表は、下駄箱近くの壁にでかでかと張ってあった。
その下にはもう人だかりが出来ていて
俺もクラスを見る為に側に寄った。



「……また壮治と一緒かよ…」


俺は二年一組、そして壮二の奴も二年一組だった。
波木 壮治は小学生の頃からずっと…今年を入れて八年も続けて同じクラスで、腐れ縁を通り越して親友みたいになってしまった間柄だ。

そんな奴がまた同じクラスでも余り感想がある訳でなし、
他の面子もパッとしなくて、大きな違いと言ったら同じ部活の真代とクラスが離れたと言う位だった。



今年もこの学校で去年と変わらない一年が始まる。


俺はそこにクラス編成表と同じ様に、それが当たり前に思えて何も感じる事も無く

新しい二年一組の下駄箱に靴を放り込んだ。
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