変革する宇宙で

□戦いの中に
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聞きたくない。

人を殺す。殺した。

お前の口からは。

しかしティエリアは言った。

「現実から目をそらしている。彼は見るべきだ」


しっかりと、この世界を。自身のその瞳で。








「難しいな」

「?」

「沙慈。俺はもっと単純なことだと思っていたんだ」

「何が?」

「人間の考え方や…気持ち…感情。それを否定することも、全て」

「でも」

「ああ。違ったようだ」

うまく、笑えただろうか。俺もお前に与えたかった。心が、軽くなる感覚を。

すると沙慈の手が伸びてきて、するりと俺の頬を撫でた。

「…っ!?」

反射的に沙慈の手をはらう。

「ごめん、いきなり」

「違うただ…驚いただけだ」

「えと…整備終わったし。部屋に戻ろうか」

「…全部やってくれたのか?お前が?」

「うん。イアンさんに色々と教わったんだ…って何か、最後の言い方おかしくない?」

「悪かった。俺は随分眠っていたんだな」

「起こしたら悪いかなって思ったんだけど、置いていく訳にも…いかなかったからさ」

そう言うと、沙慈は俺に手を差し出し、

「はい、降りるよ刹那」

そして俺は、

「ああ」

その手を取り、コックピットを降りた。









戦いの中で知ったこと。

人は時々矛盾している。

沙慈と出会って知ったこと。

それを認めるのも…悪くない…?



―戦いの中に―



End.

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