てのひら稲妻町

□@柑橘
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「愛媛と言えば、みかん?」

「ああ…」

「ダンボールいっぱいにさ、愛媛みかんがどーんって。毎年ちゃんと食べてるぞ」

「俺育ててねぇから」

「みかん不動産」

「ざけんなげろまず」

「今日みたいに雪たくさん積もるのか?」

「太陽が溶かして水浸し」

「地元のことだろー」

「興味ない」

「そこがエドガーと違うとこだよなぁ」

「どういう意味だよ」

「誇りってやつだよ」

「ねぇよそんなもん」

「そっか」

「そんなもんだろ」

不動に後ろから体重をかけられ肩に顎を乗せられた。顎から首にかけての体温がパーカー越しに伝わって気持ち良い。

「今度また愛媛に行こうかな」

「あいつと?」

「エドガーのこと気にしすぎだ」

少し冷たい両手に両手を取られ、重なった指先がほっぺに食い込んだ。

「う」

「めっちゃこっちの台詞」

「えでゅがーいいやつずん」

「あいつのことはもういいー」

「なんづーぅおぅお」

ぶんぶんと振り回して解放された。次は肩に手を置かれ背中におでこが当たる。俺は不動の手が離れた後もそのまま温めるようにほっぺを挟んでいた。

「円堂、肉まん」

「うん。合宿所戻ろう」

「話聞け」

「お店探す前に暖炉の前へ行きたい」

「円堂」

「うん?」

「部屋掃除したか?」

「…っ!してない、かなぁ。みかん届いてた」

「あっそう」

「だから、それ持ってお前の部屋に行く」

振り返って、手を自分の頬から不動の頬へ。ゆっくりと顔を上げた不動は温度を確かめるように目を閉じる。

「…どっちも冷たくてわかんねぇ」

「あははっ」

笑いながら感想を述べる不動につられて、俺も笑った。



End.


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