音譜帯の空へ
□癒す紅
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「ジェイド、持ってきたぞっ」
ドンッ
机の上に置かれた山積みの本や資料。
「ありがとうございます」
ジェイドはそれを平然と見つめ、その中の一冊を手にした。
「ここ最近、やけに多くなったよな」
「…何がですか」
手元に視線を向けたままの適当な返事。これも最近多くなったこと。
「そうやって本とかずっと読んでんの」
誰の為だと思って…。
ジェイドは口には出さない。
「…休憩したほうが」
「…」
「ごめん」
俺自身、少しは分かっているから。
「では、しましょうか」
「え?」
「休憩です。肩を貸しなさいルーク」
「…え?」
ジェイドは徐に、3人は座れる大きめのソファに腰掛け、ポンポンとあいた横のスペースへ座るよう手で俺を促した。
「ちょ、冗談だろ?」
若干声が裏返る俺に、
「何を言っているんですか。冗談なんかじゃありませんよ」
笑いを堪えながら言い返すジェイド。
「…わかった、よ。ちょっとだけだからな」
「はいはい」
休憩なのにどうして俺が隣に座るのか。嫌な予感がしつつも、俺はジェイドの隣に腰掛けた。
「もっと近く」
「わっ…」
腕を掴んで引き寄せ、ジェイドが俺の肩に寄り掛かる。
茶色の髪が赤色の髪に静かに触れた。
「…なぁ、体勢が」
「ルークにもう少し身長があれば」
その身長差、約15cm。
「ぐっ…」
「まぁ、慣れればさほど…」
「さほど…何だよ」
「って、おい」
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