novel《HELP!》

□騒ぎは広まり
1ページ/29ページ

「そういえば、涼はどうやって副会長と出会ったんだ?」
「森みたいなところで迷ってたら京先輩に会って、送ってもらったんだ」
「へぇ」

それで副会長に好かれるような何かをした、と。
副会長は亜麻色の髪に中性的な顔。1つ1つのパーツが綺麗にそろっているが人を見る目は冷ややかだ。
それ故に氷の女王と呼ばれている。
とにかく気に入った人以外にはどこまでも冷たい。
それを出会ってすぐなのにあそこまで柔らかい表情をさせる涼は一体何者なのか。
これからどうなっていくのかが少し怖くなった。

きゅるるー。
まぬけな音が部屋に響く。あまりにもまぬけな音すぎて体の力が抜けていってしまう。

「腹減った……」
どうやらまぬけな音は涼の腹の音だったらしい。
脱力してしまう体を起こし、とりあえず夕食にしようと決めた。

「じゃあ食堂に行って夕食にするか? 案内するよ」
「今日は出来ればもう動きたくないからここで食べたい」
「……わがままな奴だな。お前料理作れるのかよ」
「紀一が作って!」

はぁ、しょうがない。ついでに君宏とあいつを呼んでやるか。

「料理は何でもいいよな? 後俺の友達も連れてくるから。紹介するよ」
「やった!料理はもちろん何でもいいよ。紀一の友達かぁー。楽しみ」
そこまで楽しみにされるものでもないが。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ