C l a p

□first kiss
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first kiss




俺は不器用で、意地っ張りで、強がりで全然可愛くなくて
でも本当に好き。
なのに、どうして俺は……。

好きな人と別れてからもう一ヵ月。
今は連絡も取って居なければ話しても居ない。
同じクラスだから毎日顔は見れるけど、あの人の横顔を見るだけで切なくて。
俺は…俺はどうすれば良い?
勇気を出して告白して、返事を貰った時は凄く嬉しくて……でも、二人で居る時何を話したら良いのか分からなくて。
あの人が友達と話す時みたいに俺に話し掛けて欲しかった。
俺と居ると困った様な表情(かお)をするから…
心が痛くて、何か片想いの時みたいに見てる方がずっと楽しかった。


「…鎖介、俺と居て楽しい?」


二人きりの下校途中、不安で一杯で訊いてみた。


「……良く分かんねぇ。」


顔を背けて言われた。
やっぱり…。
胸がズキズキと痛い。


「…そうだょね。鎖介、哉達と一緒に居る方が楽しそうだしそれに―――…」

「お前こそ、全然楽しくなさそうなんだけど?」


俺の言葉を遮った鎖介の声。
何か声が怒ってる気がした。


「ハッキリ言ってくれないと分かんねーょ。」

「……俺にも良く分からないけど、鎖介と居るとどうしたら良いか分かんなくって…それで―――…」

「じゃあ辞める?嫌なのに無理して一緒に居る事ないだろ。」


「じゃあな」って俺を置いて行った鎖介に涙が絶えなかった。
違う、嫌じゃない。
本当はもっと俺の事を知って欲しくて、鎖介の事をもっと知りたくて、もっと近くで見て居たくて、もっともっと沢山一緒に居たくて…なのに。






教室を出て階段を降りて居ると鎖介の声が耳に入った。
楽しそうな笑い声。
階段を降りて廊下に出た時、俺の目に入ったのは女の子と話して居る鎖介だった。


「あははっ!鎖介君それ顔に似合わないゎよ!!笑」

「そうか?でも凄ぇ楽しいからさ。お前もやってみたら桜?笑」

「そんな事出来る訳無いでしょ!!笑」


…そっか、もう俺の事どうでも良いんだ。
桜ちゃんと別れて俯いて居る俺に気付いたのか、鎖介が顔を向けた。


「…なるΣぶッ!?ι」


投げ付けた通学鞄が顔面に当たった。
ドサリと落ちた鞄に顔を抑えながら鎖介が俺の方を見る。


「いってーな…何なんだょ……って、え?何で泣いてんだょお前?ι」

「…だって―――…」


他の子と楽しそうな顔してちゃ嫌だ。


「好きだもん。鎖介が、好きで仕方無いもん。俺だけを見てて欲しいんだってばょ。///」


好きだから鎖介を独り占めしたいって思うのは、俺の我儘?


「もう、俺の事嫌い?もう…駄目なのかなぁ……?///」

「…このウスラトンカチ。」


溜息を吐いて頭を抱えながら鎖介が俺の所迄来た。
俺の荷物を下に置いて、俺の頬に触れる。
ビクリとして躯が震えた。


「本当に嫌われたのかと思っただろが!」

「え…?///」

「俺もっ、ずっと……お前が好きだったんだ!!」


ビックリして顔を上げる。
鎖介の顔は真っ赤だった。


「う、嘘だってば!!///」

「嘘じゃねぇ。俺はお前にしか興味ねーょ。闇を照らす太陽の様に明るいお前にしか…な……。」


ニコリと優しい笑みを浮かべた鎖介。
初めて見たその表情。


「今度は俺から言うょ。成斗、俺と付き合ってくれないか?」

「あ…うんっ!!///」


嬉しくて泣き出した俺の顎を掴んで、俺より高い位置にある鎖介の唇が重なる。
触れただけで直ぐに放れたけど、鎖介との初めての優しいキスはとても温かくて甘かった。
鎖介の広くて大きな胸に躯を埋められて、
ドキドキしてる鎖介の鼓動が聞こえるのが嬉しくて
俺は鎖介の背中にゆっくりと腕を回した。




―end――…





 
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