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□羞☆恥☆心
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羞☆恥☆心




此方、現在大ブレイク中の羞恥心楽屋。
鏡の前で鼻唄で羞恥心を唄いながら後ろ髪をヘアスプレーとワックスで立てるリーダー「羞」事、内波鎖介に、ソファーで大人しく本を読む「恥」事、哉。
それからファンレターを読みながらお汁粉を啜る「心」事、渦槙成斗。


「良し、準備オーケー。」


リーダー鎖介はキラリと鏡の前で決めポーズをした。
その後ろでファンレターを読んで居た成斗が唸り出し、うがーっ!!っと声を上げる。


「まただってばょ!何で鎖介ばっかりラブレターなんだってばょ?!マジ意味分かんねーってば!!#」


酔っ払いの様に、飲み干したお汁粉の空き缶を机に叩き付ける。


「気にするな、成斗。俺はお前だけのモノなんだからさ?」


そう言って擦り寄り抱き付いて来た鎖介を成斗はウザそうに押し退けた。


「マジで引っ付くんじゃねぇってばょ…。暑苦しいむしろ厚かましい。#」

「照れんなょ、何時だって甘えて来ても良いんだぜ?笑」


未だゴロゴロと甘えてくるリーダーに成斗は溜息を吐いた。
段ボールから鎖介のファンからの手作りお菓子を取り出すと、勝手に開けて摘まみ始める。


「哉、何読んでんの?」

「『アイドル・チェット』。面白いょ。笑」


意味不明な本のタイトルを見せながら満面の笑みを浮かべると、哉は壁に掛かっている時計を見た。


「もうそろそろ打ち合わせの時間だね、Paboの皆呼んで来るょ。」


哉は本に栞を挟むと立ち上がった。


「Σえ!?待てってばょ!俺をこんな変態と二人きりにする気か?!ι」

「大丈夫、直ぐ戻って来るからね。食べてる暇なんてないから。笑」

「そう言って俺が無事だった事ねぇってば!コイツマジで―――…」

「じゃ、行って来るね。」


成斗の言葉が終わる前に、哉は楽屋から出て行った。
防音性の楽屋に二人取り残される。
成斗は恐る恐る鎖介の顔を見た。
するとこの時を待っていましたと言う笑顔でニッコリ鎖介が笑う。
慌てて成斗は鎖介から放れた。


「どうした?成斗…俺の胸にさぁおいで♪」

「ざけんじゃねー!絶対行くかってばょ!!ι」

「へぇ…じゃあ俺が行ってやるょ。」


立ち上がった鎖介は成斗に一歩近付いた。
部屋から出ようにも扉は鎖介の後ろにある。
成斗は鎖介が近付く度後ろに後退るが部屋の空間にも限界があり直ぐに壁にぶつかった。
背筋に冷や汗が伝う。
何か敵対する為の物が無かろうかと辺りを見回して居ると、足元に哉の分厚い本を見付ける。
成斗は咄嗟にそれを拾って鎖介に投げ付けた。


「い、息を止め動かないで!呪文を唱えるから!!TE QUIERO♪!!ι」

「Σぶっ?!ι」


呪文と共に投げられた本が鎖介の顔面にジャストミートする。
角が当たったのか、顔を手で覆って停止した儘の鎖介に、成斗はやり過ぎたかとそろそろ近付いた。


「ご、ごめ…大丈―――…」

「愛する人の心震わせる為!何時も!ネバーギブアップ♪!!」

「Σギャーッ!?ι」


突然抱き付いて来た鎖介に成斗は悲鳴を上げた。
もう一度言うが、この部屋は防音性な為どんなに騒いでも外部に室内の音は一切聞こえない。
乗し掛かられた反動で床に倒れる。
唇を寄せる鎖介の口を手で抑えて成斗は抵抗した。


「パワーは何時も!どんな時も!負けやしないさーッ♪!!ι」


両腕で抵抗を始めた成斗に鎖介はニヤリと笑ったのが目だけで成斗は分かった。
そして次の瞬間掌にペロリとおぞましい感触を与えられ、怯んだ成斗は手を引っ込める。


「今夜朝迄付き合うから、笑顔見せてょ♪」

「嫌だぁあああ!!///ι」


成斗の言葉も呆気無く、鎖介は悲鳴ごと唇を塞いだ。
両手を抑え込んで舌を入れ込む。


「っ、ん……ふぅ。///」


成斗が甘く声を洩らした時だった。
ガチャッと軽い音がしたかと思うと。


「ごめんね!ちょっとディレクターが―――…」


Paboのリーダー春野桜が部屋にずかずかと上がり込み羞・心の前で止まる。
ガシリ、鎖介の襟首を掴み上げ意図も簡単に持ち上げた。


「…なぁにやってんのかしら?」

「……捩じ伏せられそうな時、大声で叫ぶんだ♪!!ι」

「安心して、大声で叫んでる暇何てないゎvこの変態羞坊!しゃーんなろーッ!!#」


バキャッ…


問答無用で鎖介に右ストレートを喰らわせると床に叩き付けた。
成斗の真横で踞ってピクピクする鎖介に此でもかと渾身の足蹴を入れる。
その様子に入ろうにも入れない残りのPaboの二人、山中衣乃と日向妃奈妥、羞恥心の哉が扉の所に止まって居た。
ボコボコに羞を痛め付けた後、桜は心に何事も無かったかの様な笑みを浮かべる。


「駄目ょ、成斗。油断大敵なんだからね?」

「油断してた訳じゃない。押されて押し倒されて…♪ι」


桜は半身を起こして口ずさむ成斗の頭を撫でながら後ろで止まった儘の3人に目を向けた。


「皆、早く今度のコンサートの事を話ましょ。」

「そうね…。ι」

「だ、大丈夫なの?鎖介君?ι」

「はは、大丈夫だと思うょ。さ、中に入って。笑」


気絶して居る鎖介を放って羞恥心+Pabo=アラジンの打ち合わせ会が始まった。
机の真ん中に羞恥心のリーダー、「羞」宛てのお菓子を拡げて。
楽しそうな話声にうっすらと意識を取り戻した鎖介は心を見ると


「…この儘じゃ終わる訳ない♪」


ボソリと呟いて再び意識を手放した。




―end――…





 
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