09/24の日記

22:01
脱色部屋(ゴッズ夢主)
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「何ですって……!?」


ネムから聞かされた言葉にフィーネは目を見開いた。
目の前で強く頷いたのは同じ十二番隊で過ごすネム。
フィーネは湯呑を机の上に置き、彼女から詳しい事を聞いた。


「……中央四十六室がルキアの処刑を決めたですって?
確かに他者に死神の力を渡すのは重罪だわ。
けど処刑にするほどのものじゃないはずよ。」


「ですが、これは中央四十六室が決めた事です。」


中央四十六室。
絶対的決定権を持つ最高司法機関。
ここに就いている賢者、裁判官が決めたことは隊長格でも異を唱えることは許されない場所。
そこがルキアの処刑を決めたのだ、本来ならあり得ない処罰の方法を。


「………そう、ありがとうネム。」


「どちらに行かれるつもりで?」


「十一番隊よ。
真っ先に行動を起こしそうなバカが1人いるからね。
彼を止めに行くわ。」


「そうですか。」


すぐに立ち上がったフィーネ。
そう、きっと彼なら納得できないと言って上に異を唱えに行くだろう。
自分と彼はこの世界では異端な存在。
それなのにこの場にいる事が出来るのは監視されているから。
そんな自分達が上に…
策もなしに突っ込んだらどうなるか。


「(さて、早く十一番隊に行かないとね。)」


心の中で呟いたフィーネは瞬歩でその場から離れた。








「こんなの納得できるわけがないだろう!?
一体四十六室は何を考えているんだ!??」


「それは私が聞きたいくらいよ。」


バイアーメの力で作った異空間。
死神も、虚も干渉できない世界。
そこに置いてあるゴシックの椅子に座っているのはフィーネ。
目の前に立っているカリアは理解できない現実に苛立っている。


「ルキアが処刑されるような重罪を起こしたのなら俺は文句なんて言わないぜ。
それがこのanother world(異世界)のルールだからな。
だが……!
ルキアは処刑されるほどの重罪を犯してない。
それなのに処刑されるのはおかしいだろ!?」


「はいはい。
言いたいことは分かるけど、少しは落ち着きなさい。
仮にもバイアーメでしょう。」


全く、この男は。
お気に入りの友人が理不尽な目に遭うとすぐに熱くなる。
まぁ、友人想いと言えば聞こえはいい。
しかし単純に、イノシシの如く突っ走るのはよくない。


「で、今回私がここに貴方を呼び出した理由は分かるわよね?」


「…何か策があるんだろう?
ルキアの事に関してはらわたが煮えくり返っているのはyouの方だからな。」


「あら、分かってるじゃない。」


そう、彼女だってカリアと一緒で今すぐ四十六室に喧嘩を売りに行きたいくらいだ。
しかし策を練ってから行動する。
ここが彼女の凄いところであり、恐ろしいところである。


「とにかく、何故四十六室がルキアの処刑を決めたのか。
そこから考えましょう。」


「!?
すぐに彼女を助けるんじゃないのか??」


「処刑の時間までには時間があるし、ルキアには護衛をつけたわ。
あの子の身が安全、または四十六室の目的が判明するまでは動くつもりはないわ。」


そう、策を練る前に必要な事。
陥れる相手の目的を知る事だ。
別に知らなくてもいいのだが、知っていたほうが後々都合が良い。


「人間、いえ、理性がある者は基本的に自分の利益になるように行動を起こすわ。
つまり四十六室にとってルキアの処刑は何らかの利益につながると考えて良いわ。」


「その利益っていうのは?」


「それが分かったら苦労はしないわねぇ。
まぁ、それに関しては私が調べるわ。」


「なら俺はどうしろと?」


まさか何もせず、彼女が目的を調べ終えるまでじっとしろと??
冗談じゃない。
仲のいい友人が寂しい、惨めな思いをしているのだ。
呑気に待つことなど自分にはできない。


「言い方は悪いけど、死神は四十六室の忠実な番犬。
私と貴方がルキアの処刑の妨害をしようとしていると知ったら彼らは騒ぎ出すわ。
そして戦闘を回避する事は無理でしょうね。」


百歩譲って死神たちにその気はなくても……
中央四十六室が命令すれば死神たちは動いてしまう。
だから戦闘は回避する事が出来ないと考えておく方が良い。


「だから?」


「その時が来るまで、貴方には力をつけてほしいの。」


「What’s?」


「確かに貴方、そして私は卍解が出来るわ。
けど他の隊長格も卍解が出来るわ。」


「だが俺はバイアーメだ。
例え隊長格でも勝てる自信はあるぜ。」


「一応言っておくけど、戦いっていうのは複雑よ。
相手を容赦なく叩きのめすことはとても簡単な事。
けど、相手を殺さないように戦うのは難しい事なの。
特に力の差がありすぎると、力の加減が難しくてね………」


「………」


それはカリアにも身に覚えがある。
初めて剣八と戦った時…
自分が圧勝なのは覚えているが、問題は剣八のしぶとさだ。
何度倒れるように、殺さないように攻撃してきても彼は喜んで戦いを挑んでくる。
他の隊長格は剣八とは違い、戦いに楽しみなど感じていない。
しかし死神としての誇りゆえか……
最後まで、死ぬまで負けを認めず戦いを挑んでくるだろう。


「だから、貴方がつけるべき力は『手加減』よ。
相手は虹蛇達に頼みなさい。」


「……あぁ。
調べ事の方は任せたぜ。」


「ふっ、えぇ。」









END
だが私は戦闘シーンを書けない

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