08/23の日記
20:30
超生命体部屋(5D's)
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「で、なにをしているんだフィーネ。」
裏ルートで借りた物件。
2人暮らしではとても広すぎる部屋だが、フィーネの研究材料、化学薬品、機械の部品、そして研究室を置くためには少し狭かった。
全く、異世界を渡るたびによくこれほどの量を運んでくるものだ。
「あ、ハッキングよ。」
「へぇ、どこに?」
気軽に返ってきた答えにあっさりと返すカリア。
以前の自分ならハッキングと言われると驚いていたが、もう慣れてしまった。
彼女がどこにハッキングしようが絶対に驚かない。
そういう自信があった。
「ペンタゴン。」
「ブッ!!」
カリアは飲んでいたコーヒーを吹き出し、悲しいことに雑誌に茶色のシミができてしまった。
そして何度か咽て恐る恐るフィーネを見上げた。
だって彼女は今、アメリカの国防総省にハッキングしていると言ったのだ。
ありえない。
「フィーネ、俺の記憶が正しければペンタゴンにハッキングできるとしても10年以上はかかるはずだぜ。」
「それはこの世界かつ、この時代に生きている人達のレベルで考えた話でしょう?
クロコダイル君。
私達は異世界の人間かつ、この時代より後の人間なのよ。
それに私は天才なの。
出来たっておかしくないでしょう?」
「それはそうだが…」
そう、自分、というよりバイアーメの修行として訪れたこの世界は自分が住んでいた時代より前である。
西暦を見れば両親が結婚した頃だろう。
それ故に自分達と全く技術が異なるため、少しだけ扱いに戸惑ってしまう。
まぁ、妖怪がいる戦国時代の世界に行ったり、大海賊時代で悪魔の実というわけのわからない物がある世界に行ったり、念を使うハンター達がいる世界に行ったり。
色々な世界を回ってきたためすぐに慣れたが。
「で、どうして急に?
俺の修行内容と関係しているのか?」
「いいえ、ただの興味本位よ。
……ねぇ、クロコダイル君。」
「What’s?」
零したコーヒーを拭かないと、と思って腰を上げるとフィーネからこのような質問をされた。
「貴方が通っている学校にサミュエル・ウィトウィッキーって子がいるでしょう?」
「サム?
Yes、彼とはfriendだが…
どうかしたのか?」
「…貴方、また厄介事に巻き込まれるかもしれないわ。」
「What’s?」
どういう事だ?
サムは誰がどう見ても普通の青年。
まぁ、自分が修行する世界だ。
これから有り得ない事件が起こるのだろう。
まさか、サムがそれに関係しているのか?
「フィーネ、詳しく話してくれ。」
「えぇ。
あ、この話が終わったらすぐにウィトウィッキー君のところに行ったほうが良いわ。」
「Why?」
「彼、狙われてるわよ。
宇宙人さんに。」
「What’s…?
何を言っているんだ、フィーネ?」
静かに、面白そうな、新しい玩具を見つけたような表情を浮かべるフィーネ。
完全に楽しむ気である彼女は小悪魔な笑みを浮かべたまま話した。
「おいおい、マジかよ…」
「ね、言ったでしょう?」
急いで友人がいると思われる場所に行く。
あたりはすでに暗く、視界が悪い。
だがその視界の悪さでも彼らの姿を見つけるのは簡単だった。
目の前で起こっている事。
黒いロボットと黄色のロボットが戦っている。
「あの黒いロボットはディセプティコンの兵士。
で、黄色の坊やはオートボットの兵士よ。
どうする、加勢する?」
「No…
ここで加勢してマークされたくないからな。」
彼らにとっても自分の力はありえないものだろう。
いや、もしかしたら彼等には空間、いや、次元さえも超える技術があるかもしれない。
だが自分がバイアーメになって以降、自分以外に次元を超えた存在はあまり感知していない。
感知できたものでも、この世界に戻ったり、出たりするような気配ではない。
瞬間、黄色いロボットが黒いロボットに止めをさす。
「終わったようね。」
「あぁ……」
カリアは静かに黄色のロボットを見上げ、ゆっくりと歩み寄る。
「Hey!
黄色のロボット、けっこう派手に暴れたな。」
声をかけたカリア。
ロボットは目を見開いたのか、少しだけ肩を震わせて勢いよくカリア達を見下ろす。
やはり困惑しているようで表情が動揺していた。
もしかして自分達に姿を見られて焦っているのか?
「Don’t worry,俺達はyouの事を誰かに喋るつもりはない。
喋ったって誰も信じてくれないと思うしな。」
「ま、いきなりロボット同士の戦闘を見ただなんて言われたって反応に困るだけだしね。」
「………」
何も喋らないロボット。
カリアは笑みを浮かべ、彼に手を差し出した。
そして友好的な笑を浮かべる。
「俺はカリア!
仲良くしてくれ、my friend!」
「私はフィーネ。
一応これでも科学者よ。
よろしくね、可愛らしいロボットさん。」
突然の自己紹介に困惑するロボット。
だが、少しだけ表情をやわらかくし恐る恐る手を伸ばす。
そしてカリアの小さな手を巨大な指で触れた。
その指をカリアは優しく握った。
END
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