01/20の日記

15:56
狩人部屋(ゴッズ男主)
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「ねーねー、君達、名前なんて言うの?」


「え?」


時間が来たのか、サトツと名乗った男性が受験者達の前に現れた。
それで彼の口から1次試験は『彼についていくこと』と語られて始まった。
最初は歩きながらついて行っていたのだが段々と加速しているのが分かる。
今では殆どの受験者が走っている。


「俺、ゴン。
君達は?」


瞳を輝かせながら尋ねてきたのは黒髪の少年。
彼は友人と思える銀髪の少年と一緒に走りながらカリア達に笑を向けていた。


「俺はカリア。」


「私はフィーネよ。」


「光歌でぇす!」


「カリアに、フィーネ、光歌だね!」


よし、覚えた!と表情に出しているゴンは笑みを浮かべたまま走り続ける。
すると次は銀髪の子が聞いてくる。


「俺はキルア。
お前らいくつ?」


「俺達全員12歳だぜ。」


カリアの言葉にフィーネと光歌は少しだけ笑みを浮かべた。
正確に言えば20歳、17歳なのだが。
カリアの修行のために12歳に若返ってしまったのだ。


「ふーん。」


「じゃあ俺と同じだね!」


「キルアはいくつなんだ?」


「12.」


つまり、ここにいる5人は全員同い年という事になる。
前を向きながら次々と脱落していく受験者達を眺める。
キルアは心の中でため息をついてある提案を出す。


「なぁ、ゴン、カリア。
誰が最初にゴールするか競争しないか?」


「うん、良いよ!
勝った人に1回ご飯おごりね。」


「Ok!」


「よぉし、乗った!」


「「よ〜〜い、どん!!」」


元気よく響いたゴンとキルアの声。
カリアも不敵な笑みを浮かべながら同時に加速する。
彼らの先にあるのは何十、いや、何百段もある階段だ。
取り残された少女達はため息をこぼす。


「全く、男の子は元気ね。
クロコダイル君もあれじゃあただの子供だわ。」


「しょうがないよぉ。
カリア、11歳までずぅ〜〜っとぉ、入院生活だったんだからぁ。
あれくらいの年はぁリハビリとかでぇ、同年代の子とぉ競争なんてした事なかったからねぇ。」


「ふぅん。」


そういえば、彼にはそんな過去があったはずだ。
だから12歳の少年として彼らと勝負するのが嬉しくてつい乗ってしまったのだろう。
もう見えなくなってしまったカリアに優しい眼差しを送る光歌の言葉にフィーネは短く返す。


「あ、レオリオとクラピカだ。」


嬉しそうに誰かの名前を呼んだゴン。
前を見てみれば何故かネクタイだけを付けている上半身裸の男性と、金髪の青年が並んで走っていた。
男性は汗まみれとなっていてかなりの疲労が見える。
それに比べ青年はまだ余裕そうだ。


「ゴンのfriendsか?」


「フレ…?」


「何それ?」


「友人って意味さ。」


「うん!
俺の大事な仲間だよ。」


上半身裸なのがレオリオで、隣にいるのがクラピカ。
笑顔を浮かべながら教えてくれるゴンにカリアはふぅんと返す。
自分達がこのまま走り続けたらあっさり抜いてしまうだろう。
そう考えているともう隣に並んでしまった。


「お先にクラピカ。」


「おっさん、先に行くぜ。」


キルアの言葉に男性の額に青筋が立つ。
そしてキルアに対して怒鳴った。


「おっさんじゃねぇ!
俺はまだお前らと同じ十代だ!!」


瞬間、4人がレオリオを凝視する。


「え?」


「嘘!?」


「(俺より年下!???)」


信じられないという表情を浮かべている子供達の姿が癇に触ったのかレオリオは拗ねたようにブツブツと小言を言い出す。
そんな彼に苦笑を浮かべるしか出来ないカリアは前を向く。
そして一気に走り出した。


「あ、カリア!?」


「ずりぃぞ、テメェ!
抜け駆けすんなよ!」


「これは競争だろう?
早い者勝ちさ!」


もしフィーネが見たら大人気ない…と呆れただろう。
しかしカリアは経験できなかった子供らしい事が出来る現実が嬉しくて、自分が何者かというのをすっかり忘れている。
振り返れば負けじとゴンとキルアが走ってきた。
再び3人は並び、カリアは思わず笑みをこぼす。


「俺のペースについてこれるなんて、結構やるじゃん。」


「え、そう?
へへっ。」


「そうか?」


褒めている訳でもないのに笑みを浮かべるゴンと真顔で返してくる2人にキルアはつまらなそうな顔を浮かべる。
この自分についてこられる事は相当大変なのに。
2人は気づいていないのか?


「っていうか、皆のペースが遅いんだな。
あぁあ、こんなんじゃハンター試験楽勝かもな。
つまんねぇの。」


「それには同意するな。」


「え、カリア。
お前もか?」


「Yes.
まだ一次試験だからこんな難易度なのかもしれないが、but…
ほかの試験もこの程度なら楽勝だよ。
フィーネと光歌もあっさり合格するだろうなぁ。」


「あいつらそんなに手練?」


「あぁ。
下手をしたら俺より強いぜ。」


「ふぅん。」


次々に会話をすすめる2人にゴンは言葉を投げかける。
どうして2人はハンターになりたいのかと。
その問にカリアはなんて答えようか迷った。
だがそれより先にキルアが口にする。


「俺?
別にハンターなんかになりたくないよ。」


「え?」


「Huh?」


この世界でかなりの難関と言われる試験だから受けただけ。
そうキルアは言う。
別に嘘をついているような感じはなく、本当にそう思っているのだと分かった。


「俺は…
修行だな。」


「はぁ?」


「修行?
何の?」


「俺、あるところの跡取りなんだ。
完全に跡を継ぐには色々な課題をクリアしないといけなくて、その中にハンター試験合格っていうのがあるんだ。
それは修行も兼ねてるって聞いてる。」


本当は合格し、念を習得するというのが課題だ。
しかし念を知らないであろう彼らに話すのは少し戸惑う。
カリアの話にゴンはへーと言葉を返す。
しかしキルアは心底信じられないという表情でカリアを凝視していた。
何故そんな眼差しで自分を見ているのかさっぱり分からない。


「カリア、お前さ。
それ窮屈じゃねぇの?
自分の人生勝手に決められてるようなもんだぜ?」


「しょうがないさ。
大切なやつと一緒にいるためには、なるしかなかったから。」


バイアーメにならなければ自分は死んでしまう。
他にも女になればバイアーメにならずに済むという話はあったが、この力を失うのは惜しいのでその案は断った。
キルアの言うとおり人生を勝手に決められているが、まぁ、今が楽しいし足掻いたって無駄な事なので諦めている。


「で、ゴン、youは?」


「俺?
俺は親父がハンターなんだ。」


「へぇ。」


「で、親父ってどんなハンター?」


「分かんない。」


「Huh?」


「プッ、ハハハハハッ!!
お前それへんじゃん!」


口にはしないがカリアは頷く。
父親が目標だと言っているのに、肝心の目標である父親の事を知らないとは変である。
ゴン曰く、父親は写真でしか知らず、彼自身は伯母に育てられたらしい。


「親父も12歳の時にハンター試験受けたんだってさ。
合格してハンターになって、そして島を出て行った。
俺を捨ててまで夢中になったハンターってどんなんだろうって!」


「ゴン…
Youは前向きだな。」


普通の子供ならゴンのようには思わない。
自分を捨てた最低の父親、自分を奪った憎むべき職業だと思うはずだ。
久しぶりに見た純粋な少年の姿にカリアは笑みを浮かべる。


「出口だ!」


前から聞こえた受験生の声に3人は顔を上げる。
見てみれば懐かしい光が見えた。
ゴールが近いと思った3人は一気に加速する。


「(さて、ここまででいったい何人がついて来られたでしょうか?)」


人間離れのペースで歩いているサトツは出口で立ち止まり、ゆっくりと振り返る。
すると3人の少年が自分の横を通過した。


「「「ゴール!!!」」」


「やったぁ、俺の勝ち!」


「違う!
俺の方が早かったって!」


「いいや、俺だ!」


「「「俺だ!!」」」


目の前で言い争う子供の姿を凝視する。
会話の内容で彼らは競争していたのが手に取るように分かった。
ハンター試験を競争するとは中々の子供達。
そう思っているとゴンがサトツに振り返る。


「ねぇ、誰が1番速かった?」


「私の目には同着に見えましたね。」


「そっか…
じゃあ、俺がキルアにご飯おごる!」


「へ?」


「代わりにキルアがカリアに、カリアが俺にご飯奢って。」


「なんだよそれ。」


「I don’t get it…
(よく分からないな…)」


2人が怪訝そうな表情を浮かべるが、ゴンはマイペースにサトツに言葉をかける。
彼らの会話を聞きながらキルアはカリアに話しかけた。


「なんかゴン、変わってるな。」


「俺もそう思う。
ま、cuteだから良いんじゃないのか?」


「お前も十分変。
何言ってんのかわかんねぇよ。」


「一応my mother tongue(俺の母国語)なんだけどな。
難しい?」


「だぁかぁら、わかんねぇっつーの!」


「Ok,これからはEnglishを使わないよ。」


「お前、絶対わざと使ってるだろ!?」


「あ、バレた?」


END

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