01/29の日記

16:42
狩人部屋(ゴッズ男主)
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「嘘だ、そいつは嘘をついている!」


「え?」


「Huh?」


暗い地下から脱出し、サトツからヌメーレ湿原の説明を聞いていた時に響いた男性の声。
そちらに目をやれば傷だらけの男性がサトツを恨めしそうに見ていた。


「そいつは偽物だ!
試験官じゃない!
俺が本物の試験官だ!」


傷だらけの男性は受験者達を見渡して言う。
突然の人間の言葉に受験生達は騒ぎ出した。
一体彼は何者なのかと。
すると、男性が1匹の猿を引っ張り出した。


「なっ!??」


「嘘だろ!??」


男性が引っ張り出したのはサトツに瓜二つのボロボロな猿。
皆は猿とサトツを見比べて彼を疑心な眼差しで見つめる。


「ヌメーレ湿原に生息する人面猿だ。
人面猿は新鮮な人肉を好む。
しかし手足が細く、非常に力が弱い。
そこで自ら人間に化け、言葉巧みに人間を湿原に誘い込み他の生物と手を組んで食い殺す。
そいつは、ハンター試験の受験生を一網打尽にするつもりだぞ!!」


「いや、あんたが偽物でしょう。」


「なに!?」


必死に説明する男性にフィーネはあっさり言う。
彼女の言葉に周りの受験生達も何を言っているんだ!?という表情でフィーネを見下ろした。


「ギリギリだったな、フィーネ、光歌。」


「目の前でぇ、シャッターが降りてきてぇ。
吃驚しちゃったぁ。」


「のんびりするんじゃなかったわ。」


にこぉ、と笑みを浮かべてカリアに抱きつく光歌。
カリアはすぐに彼女を引きはがし、フィーネは呆れたように言う。
キルアはそんな彼女に尋ねた。


「で、フィーネ。
その根拠は。」


「ハンターのくせに、猿如きに負けるなんてありえないわ。」


彼女の言葉に周りの受験生は納得する。
しかし、決め手にはまだ及ばない。
カリアは溜息をつき、ゆっくりと言葉を述べる。


「俺のフィーネのopinionに賛成だ。
だって、youからは猿の臭いがするからな。」


「なっ!?」


「あらぁ、馬鹿なお猿さんね。
外見は誤魔化せても体臭は誤魔化せないようね。」


瞬間、男性にトランプが突き刺さる。


「あら。」


「ふふふ。
なるほど、なるほど。
これで決定。」


穏やかな声でトランプを弄りながら喋り始めたピエロ。
確か名前はヒソカだったはずだ。
彼の突然の行動にカリアは眉間にしわを寄せ、光歌は素直にすごぉい!と喜んでいた。


「そっちが本物だね。」


そう言ったヒソカは遠く離れた場所にいるサトツを見る。
彼の手には3枚のトランプが握られていた。
どうやら男性とサトツ、2人同時に投げていたらしい。
すると男性が連れてきた猿が慌てて逃げて行く。


「試験官というのは審査員会からの依頼でハンターが無償で就くもの。
さっきの女の子が言ったとおり、我々が目指すハンターの端くれともあろう者があの程度の攻撃を防げないわけがないからね。」


「それにしてもよく切れるな、あのトランプ。
鉄製?」


「分かんなぁい!」


「褒め言葉として受け取っておきましょう。
しかし、次からはいかなる理由でも試験官への私への攻撃は反逆行為とみなして、即、失格とします。
良いですね?」


「はい、はい。」


すると、空から無数の鳥たちが降りてくる。
鳥たちは死んだ男の周りに集まり、新鮮な死肉を貪り始めた。
この光景に何人かの受験生達は顔を歪める。


「ねぇ、ねぇ、サトツさぁん!」


「はい?
何でしょうか?」


「サトツさんの口ってぇ、どこにあるのぉ?」


「光歌、おまっ、いきなり失礼だろう!!」


思いっきり頭を殴ると、光歌は涙目で抗議してきた。
だがカリアはすぐにサトツに頭を下げて光歌を引っ張る。


「あぁ、カリアァ、ひどぉい!」


「Youに言われたくない!」


「いや、光歌の発言が1番酷いだろ。」


「キルアまでぇ。
だってぇ、気になるじゃん!
ねぇ、ゴン!」


「え、あ…うん。」


「ゴン、無理に合わせんな。」


「無理に合わせなくて良いからな。」


「はぁ…」


同年代の子供達5人がこの状況に合わず、微笑ましく話している。
サトツも随分肝の据わった子供達だと思いながら説明を始めた。
先程の猿のおかげで受験生達はこの湿原の恐ろしさが分かっただろう。


「では、参りましょう。」


「はぁーい!」


「なぁ、カリア。
光歌っていつもあんな感じ?
マジでうるせぇな。」


「あぁ…
あれ猫被ってるだけだから。」


「は?」


どう言う意味だ?
怪訝そうな表情を浮かべたが、受験生達が走り出したのでキルアは走り始めた。







霧が深くなり、前の人間の姿がはっきりと見えなくなってきた。
見えるとしたらただの影。
それと自分達の真横を走っているクラピカとレオリオだけだ。
しかしフィーネと光歌は焦った様子もなく走り続ける。


「これじゃあどっちに向かって進んでいるのか全くわからないぞ。」


「大丈夫、前のやつらの影さえ見失わなきゃ…」


「!!
フィーネ、なんかぁ来ちゃったよぉ!」


「「え?」」


「分かってるわよ、それくらい。」


突然嬉しそうに叫びだした光歌の言葉にレオリオとクラピカは首をかしげる。
フィーネはすぐにデュエルディスクを取り出し、光歌と背中を合わせた。
彼女たちの様子に2人も目を凝らす。
すると、目の前の人影が消えた。


「ど、どうなってんだよ、おい!?」


「食べられちゃったんじゃないのぉ?
今ぁ、何人かぁ死んじゃったっぽいしぃ。」


「なんだと!?
お前、分かんのか!?」


「うん!」


「見ろ、レオリオ!」


「え?」


クラピカの言葉に振り返ると目の前に苺のようなものが現れる。
突然現れた姿に皆は目を見開く。
不思議そうな表情を浮かべながら、ただのまやかしだと思ったのか1人の男性が不用意に前に足を踏み出す。
すると男性が一瞬で姿を消した。


「うぁ、うわぁああああああ!!!」


「なに!?」


霧の中に反響した悲鳴にレオリオ達は上を見上げる。
そこには先程消えた男性が、巨大生物に捕食されているところだった。
その大きさは人間の10倍以上で初めて見る怪物の姿に受験生達は一気に逃げ出す。
逃げる獲物を追いかけようと巨大生物は首を伸ばす。


「光歌、どうする?」


「うぅん、使って良い、力?」


「じゃあ毒を渡すから、これを使いなさい。」


「はぁい!」


フィーネから渡された数本の毒薬入りの注射器。
2人は巨大生物を見据えながら一気に戦闘態勢に入った。
一方、カリアは。


「…キルアとゴン、はぐれた様だな。」


先程まで一緒だったのに、少し自分が悲鳴に気をそられていたらあっさりとはぐれてしまった。


「ま、バイアーメの力を使えばなんとか追いつけるか…」


フィーネと光歌もその気になればこの森に住んでいる生き物をぶっ飛ばす事が出来る。
あまり心配する必要もないだろう。
すると背後から生物が襲ってくる。


「ん?」


ビクゥウウウ!!!!
声を低くして睨みけると、生物は一瞬で体を硬直させた。
勝てない。
自分では逆に捕食される。
生物の本能で分かったのか、生物は情けない悲鳴を上げながら逃げていった。


「…これは睨みつけるだけで助かるな。」


END

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