05/20の日記

14:30
携帯獣部屋(5D's男主人公)
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「で、どうするのよこの子。」


呆れたように言うフィーネの言葉にカリアは苦笑を浮かべる。
カリアの隣には紫色の炎を燃やしているポケモンが座っていた。
ハートマークが次々と出てきて、フィーネは鬱陶しそうに手で退ける。


「ヒトモシに懐かれるなんて、貴方、凄いわねぇ。」


「モシッ?」


自分の名前を呼ばれたヒトモシは愛らしく顔を上げ、円らな瞳で彼女を見上げる。
不思議そうになぁに?と首をかしげる姿は愛嬌たっぷりで抱きしめたくなる。
しかしフィーネは微動だにせずカリアに目をやった。


「そうだなぁ。
すぐに野生に返すしかないだろ。」


「モシッ!?」


カリアの言葉に顔を上げたヒトモシは首を左右に振り、縋るようにカリアのシャツをつかむ。
そして涙をたっぷりとためて大きな声で鳴き始めた。


「モシィイイイ!!!!」


「…フィーネ。」


「私にそんな顔を向けないでくれない?
貴方、バアイーメでしょう?
父なら父らしくしっかりしなさいよ。」


「いや、この世界作ったの俺じゃないからな!?」


どうすればいいのか分からないカリアは助けを求めるようにフィーネに顔を向けたが、彼女はすぐに切り捨てた。
この世界でのルールはポケモンをゲットしない事。
いくら懐かれて愛嬌をふりまかれたとはいえ、このポケモンを傍に置くわけにはいかない。


「もしぃ、もしぃ〜〜…」


情けない声を上げ続けているヒトモシは捨てないで、というかのようにカリアを見上げた。
潤んだ瞳にすぐに消えてしまいそうな雰囲気。
こういうのに弱いカリアは庇護欲が湧き上がり決意がぐらぐらと揺らいでしまう。
そんな友人にフィーネは大きくため息をついた。


「クロコダイル君。」


「What’s?」


「私は手を貸す気なんてないからね。」


「……okay.」








それから数日。
ギアステーションを訪れたカリアは自分の後ろをついてくるヒトモシに目をやりながら歩いていた。
あれから何度も野生に返そうとしたが、ヒトモシが大泣きしてしまうため返せない状態なのだ。


「あれ、カリア?」


「あ、クダリさん。
こんにちは。」


「うん、こんにちは。
珍しいね、君、一人なんて。
いつもフィーネ一緒。」


「彼女は友人と一緒にショッピングに行っています。
俺は図書館に行こうと思っているんです。」


「旅の勉強?」


「はい。」


自分の前に現れたのは白い制服に身を包んでいるクダリだ。
彼は人懐こい笑みを浮かべながらカリアを見下ろしている。
普段のカリアなら彼を見下ろす立場なのだが、今は10歳に若返っているので仕方がない。


「うん、旅ってすっごく面白いよ。
イッシュだけじゃなく、他の地域も回ってみて。
絶対に楽しいから。」


「はい。
そのつもりです!」


「ところで…
そのヒトモシ、カリアの?」


その場で膝を折って屈んだクダリはカリアの足元にいるヒトモシを見つめる。
ヒトモシは昔自分達が育て、今ではノボリの最高の相棒シャンデラになっている。
懐かしいなぁと思いながらカリアを見上げた。


「あ、違います。
この子は野生のヒトモシです。」


「え、野生なの?」


「はい。
ですが、何故か懐かれちゃって…」


「え、それって凄いよ!」


「What’s?」


懐かれたという言葉にクダリの目は一気に輝き、彼は立ち上がって笑顔を浮かべる。
突然輝きだした青年にカリアは一瞬きょとんとする。
一体自分の言葉のどこにそこまで興奮する要素があったのか。
ポケモンの事をよく知らないカリアは疑問符を浮かべた。


「野生のポケモンをゲットせずに懐かれるって、すっごく難しい事。
でも、カリアは懐かれた。
だからカリア、凄い、凄い!」


「そうなんですか?」


「うん!」


「モシッ!」


クダリの笑顔が輝くと同じようにヒトモシも眩しいくらいの笑顔をカリアに向ける。
これは本当に懐かれてしまったようだ。
だが自分はこの子と共にいる気はない。
この場で口にはしないが心の中で2人に謝りながらカリアは少しだけ寂しい目をした。


「カリア。」


「What’s?」


「もしヒトモシの育て方で困ったら、相談来て。
僕とノボリ、力になるから。」


「そんな…
俺、育てる気なんて…」


ない、そう言おうとしたときクダリの雰囲気が変わった。
優しくて天然のようにふわふわしたようなものではない。
研ぎ澄まされ、牙をむく寸前の獣のようだ。
一瞬で変わった雰囲気にカリアはクダリを凝視した。


「大丈夫、カリアは絶対強いトレーナーになる。」


灰色の瞳に宿るのは闘志。
見つけた獲物を絶対に逃がさないという獣の目でもあり、強者と戦う事に歓喜するものでもあった。


「だって、僕の感がそう言ってるもん。」


静かに、優しい声で言われた言葉にカリアは冷や汗を流した。
クダリとノボリが自分を異様に気に入っているのは、トレーナーとしての感が働いているからなのだろう。
まさかの言葉に引きつった笑みしか浮かべないカリアは「は、はぁ…」としか言えなかった。
そんな彼に対しヒトモシは頑張るぞ!と意気込んでいた。


END
カリアが懐かれた理由。
魂が美味しいから。(オイ



カリア
携帯獣の世界にトリップして10歳若返った
色々あってサブマスに気に入られている
(ノボリクダリ「この子は絶対強いトレーナーになる、早く成長して挑戦してほしい!」)
だが、バイアーメとしての課題に「この世界のポケモンをゲットしてはいけない。」という項目があるためトレーナーになる気はいっさいない
けどサブマスにトレーナーになろうよ、と誘われ頭を抱える日々
ヒトモシに懐かれたのは、バイアーメの魂が美味しいから
生命力は桁外れにあるのでヒトモシに吸収されても平気



フィーネ
いつものようにカリアと一緒に飛ばされた
もうあきらめの境地に達している。
ポケモンに関して知識は本から得たが、実践は不得意
誰かと手を組んで戦うのが苦手なため
サブマスは気に入っているが、カリアをトレーナーの道に誘おうとしているためちょっと厄介な人物達という印象
ヒトモシに魂を吸収されないか警戒中

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